TouchCore Blog | 第5回:微積分に挑むーデータを読み、変化を設計する
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第5回:微積分に挑むーデータを読み、変化を設計する

データを分析できる企業は増えました。しかし、データから「変化」を設計できる企業は、まだほとんど存在しません。


AI導入を微積分にたとえるなら、「微分」は変化を見抜く力、「積分」は成果の累積を捉える力です。この二つを自在に扱えるようになって、初めて経営の全体像が見えてきます。


多くの企業は、データを読み取る“微分”の段階で止まっています。過去の売上、顧客動向、稼働率を分析して、「増えた・減った」と報告する。しかし、そこから「どうすれば望ましい変化を起こせるか」という積分的な思考に繋がらない。

AIを導入しても、「予測」はできるが「設計」ができないのです。


海外の先進企業では、AIを“変化設計の補助線”として活用しています。データの変化率から次の施策をシミュレーションし、仮説と行動を短いサイクルで検証する。つまり、AIは考える道具ではなく、設計を磨く道具として扱われているのです。


一方、日本企業の多くは、「AIが分析してくれる」「AIが予測してくれる」という受け身の構えをとります。しかし、AIが扱うのは“過去の変化”にすぎません。未来を変えるのは、あくまで人間の設計力です。

マネジメントの基礎体力を整え、業務をモデルとして理解し、その上でAIを使って変化を設計する。これが、AIを経営に活かす「微積分的思考」です。

AIを使いこなす鍵は、知識ではなく構造の理解にあります。変化を設計できる企業だけが、AIを真に戦略資源として活かせるのです。


次の第6回では、
・AI導入で成功する企業はなぜ「構造」で勝っているのか
・AIを“入れる企業”と“使いこなす企業”の決定的な違い
をテーマに掘り下げます。


合同会社タッチコア 小西一有

Leading sentence
:AI導入の前に、マネジメントの四則演算をやり直そうー日本企業が失った「基礎体力」を取り戻す

第1回AI導入は“上級問題”基礎体力なしに解けるはずがない

第2回:マネジメントの四則演算をやり直す

第3回:業務を“方程式”として捉えられるか?

第4回:業務モデリングという「一次方程式」