TouchCore Blog | 顧客経験価値ー爆上げでビジネスを成長させたいなら読んで[File:17]
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顧客経験価値ー爆上げでビジネスを成長させたいなら読んで[File:17]

顧客経験価値、誰もがよく耳にしている言葉でしょう。                    
現在のビジネス環境では、単純に製品やサービスの品質や価格だけでなく、
顧客が購入を検討する段階から、その過程や接点で生じる満足や利便性も含めた顧客経験価値が重視されています。
当然ですが、掛け声だけでは顧客経験価値は向上しません。
企業は顧客経験価値を向上させようと、様々な企画や施策を行っています。
しかし、顧客経験価値を向上させるのは簡単なことではありません。
複数の理由がありますが、例えば顧客ニーズの多様化や顧客接点の複雑化に対応しなければなりませんし、そのためには部門間での情報共有や連携は欠かせません。
また、限られたコストとリソースをどう活用するのかを熟考することも必要です。
更に、社員の価値観が統一されていなければ、顧客経験価値向上は表面的なものになるでしょう。
価値観の統一、言い換えれば企業文化の変革にはなかなかの時間がかかるからです。
今回は、難しい理由である部門間での連携、限られたコストとリソース、価値観の統一、この辺りにフォーカスを当てて顧客価値向上について話したいと思います。

■コストとリソースの活用法を間違ってはいけない
■顧客価値向上にはビジネス・プロセスの改善が必要
■価値観は経営の想い
■価値観の統一は業務マニュアルでは実現できない

■コストとリソースの活用法を間違ってはいけない
先日、資料請求してみたウェブマーケティング会社から若い女性の声で電話がありました。
「ウェブマーケティングを(弊社に)丸投げしていただけます!」
いろいろと話をしているうちに、その会社のトップコンサルと2時間無料で話が出来ますがいかがですかという話。
それは試してみるのも面白いと思ったのですが、次の言葉がいただけませんでした。
「このお電話の後、弊社の係の者が無料コンサルについての確認のお電話を差し上げます、そのお電話に応答していただけないと無料コンサルは受けられません」
話を聞かせた揚げ句、この電話でやりたいことが完結しない。面倒な話です。
女性は、テレアポ要員なだけで委託元企業にアポイント情報を売るだけの仕事だったということでしょう。
分業化がダメという訳ではありませんが、もう少し、シームレスには出来ないものでしょうか。
コンサルタントのリソースを有効稼働させるための施策だとは思いますが、私がテレアポ要員と話しをしていた時間(コスト)をどう考えているのかと思わずにはいられませんでした。

■顧客価値向上にはビジネス・プロセスの改善が必要

弊社にも、様々なセールス電話が掛かってきます。
一番多いのは、補助金・助成金コンサルと不動産売買でしょうか。
変わり種だと、北海道の海産物(概ね蟹)を買いませんかという電話もあります。
セールス電話の取っ掛かり(リード・ジェネレーション)と、一次的に興味を持たせるくらいまで(リード・ナーチャリング)を外部業者に委託するのがトレンドになっているらしいです。
しかし、顧客に何回も何回も確認の電話を入れるなどという、顧客経験価値を下げるようなことも日常茶飯事になっています。
外部業者を信用しきれないのか、絶対逃がさないという意思の表れなのかはわかりません。
顧客に経験価値を下げている実例は、世の中に極めて多く存在しています。
何故、わざわざマーケティング費用をかけてまでそのようなことが起きるのでしょうか?
その基本的な原因は「ビジネス・プロセスの問題」なのです。
わたしは、ビジネス・プロセス改革(改善)のワークショップで最初に問うことがあります。
「縦割り組織で困ったことをあげてください」
意外にも、多くの現象が報告されているのに、組織が縦割りで分断されると起きる問題はビジネス・プロセスの問題なのだということに気付いていないからです。
「ビジネス・プロセスを改善すれば良いのならば、ERPを入れれば解決するのですよね」
そういう問題ではありません。
「ビジネス・プロセス改善とERPは全く関係ない」ということだけが真実です。
縦割り組織の問題点は、
「組織毎に価値観が全く違っていて」
「自組織以外で何をしているのかが分からない」
これが問題の真相なのです。
 

                           
■価値観は経営の想い
私は、昔々コールセンター長を務めた経験があるせいか、電話の先にいる人(例えばテレアポ要員)が何を考えて仕事をしているのかという事が気になって仕方がありません。
その電話の先にいる人の価値観が、言動からチラホラ見え隠れするのが気になって仕方ないのです。
弊社もお客さまあっての商売なので、如何なる気持ちでサービスをご提供するのかを常日頃から考えています。
お客さまにどのような気持ちでサービスを提供しているのかは、必ず伝わります。
また、一緒に働いてくれる仲間を「管理してやろう」という気持ちが強かったりすると、それもお客さまに伝わります。
経営者の想いとは裏腹に現場で働く人々の行動は様々であり、それがお客さまに伝わり結果的に離反させてしまいます。
人と人の間、組織と組織との間に潜む隙間、つまり価値観の違いが大きければ大きいほどお客さまに悪印象を与えてしまうのです。
ビジネス・プロセスとは戦略イシューであり、戦略は=(イコール)経営の想いです。
「組織の末端までいかに「想い」を統一させることが出来るのか」という意味だと捉えることができます。

■価値観の統一は業務マニュアルでは実現できない
良い仲間と仕事がしたい。
すべての企業(経営者)がそう望んでいると思います。
ただ、生産労働人口の減少などにより、人材採用は益々難しくなっています。
一般企業の採用試験は、筆記試験などもあるが多くは何回かの面接試験を通して合否が決められます。
今までは、幾度かの面接によって、候補者が自社に上手く馴染める人であるのかどうかを見極めてきたのではないでしょうか。
そもそもの価値観が違うと会社に入ってから苦労するだろうし、企業サイドも辛いというのが正直なところです。
しかし、人材採用が難しく、多少の難アリでも採用しなければならなくなる時代は直ぐそこに来ています。
難アリと言うのは「価値観が違う」という意味です。
「働くこと」や「仕事」についての考え方が従来の社員たちとは違う(合わない)人材を採用しなければならない時代。
組織間の溝が出来るのは、価値観の違いが発端だが、個々の人材レベルで価値観が合わず業務に支障を来すのである。
「個々の業務をマニュアル化して徹底的にその通りに仕事をさせるのだ!」
そう言う方もおられるでしょう。
程度の差はあれ、現在でもそういう考え方の下で業務遂行されている組織が少なくありません。
ただ、個々の業務を完全にマニュアル化することは非常に難しいのです。
当社事業の目的は何で、この部署では何を求められているのかなど上位レベルでの理解は必須です。
なのに、業務マニュアルは、個々の仕事は明記されていても、その仕事の重要性や他の仕事との関係性、ビジネス全体から見た時の位置付けなどは説明されていないことが多いからです。
勢い「書いてある通りにやれば良いのだ」と指示をしたりします。
「当然、言われた通りにやりました」「それ以外の指示がある場合は明記してください」と反論されるでしょう。
(「言われたことはやるんだけどねえ」と最近のおじさん達がぼやいているのが、このパターンです)
難アリの場合は、そもそも価値観が違うから仕事をして貰うハードルが更に高くなります。
だからこそ、そのレベル(業務マニュアル以上の)での業務説明は必要不可欠だし納得して貰わなければなりません。
「方針」「指針」の類いを徹底的に共感して貰うプロセスが必要だということです。
そこを端折りたいから業務マニュアル通りに仕事をして貰うのだ、と言ってしまえばそれまでですが。
人材採用が更に困難になる時代にも、そのように言い続けるのでしょうか?
ビジネス・プロセスの諸課題は、組織間の溝に生じる価値観の問題です。
しかし、これを改善・改革することにより顧客経験価値を爆上げすることも可能になります。
尚、重要なことなので再度お伝えします。
間違ってもERPを導入することによってビジネス・プロセスの諸課題が解決されることはありません。

■追記

先述の通り、私は大規模なコールセンターのセンター長を務めたことがあります。
任命された際に最初に考えたことは「このコールセンターの価値観をどうすれば統一できるのか」でした。
勿論、センター内のプロセス改善にも着手しましたが、一番重要だと思ったことは経営の想いである「方針」を伝え続けることでした。
社員にも中途採用が多かったり、オペレーターにおいては複数の企業から採用していました。
当然ですが、当初、価値観はバラバラです。
マニュアルを読んでもらうのではなく、社員やオペレーターに何十回となく直接話し続け、繰り返したのです。

それくらい、価値観の統一というのは難しいものだと身をもって体験しました。


合同会社タッチコア 代表 小西一有


ゼヒトモ内でのプロフィール: 合同会社タッチコア, ゼヒトモのコンサルティングサービス, 仕事をお願いしたい依頼者と様々な「プロ」をつなぐサービス