TouchCore Blog | 社内SEの闇-かつて存在しなかった職種の現実[File:19]
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社内SEの闇-かつて存在しなかった職種の現実[File:19]

「社内SE」現在は一般的に使用される単語であり職種らしいですが、実は私は数年前までこの職種を知りませんでした。
ある時、クライアント企業(ITユーザー企業)の社員募集に「社内SE」とあったのを見て不思議に思い、同じくクライアント企業のIT企業の方に、これはどういう職種なのかとお聞きしてみました。
どうやら、社内のシステム運用・保守、社内インフラの管理、社員からのITに関する問い合わせに対応するそうです。
彼らのクライアント(ITユーザー企業)からの依頼で、社内SEとして自社の社員を常駐させることもあるといいます。
私も、ITユーザー企業の情報システム部門で15年以上の経験があります。
当時、社内SEという職種はありませんでしたが、もし私がこの社内SEに指名されていたら…と考えました。
恐らく、早々に担当替えを希望しただろうと思います。
社内SEは、様々な闇を抱えていると思うからです。
現在の社内SEが抱える闇は、情報システム部門の在り方に多くの原因があると考えています。
今回は、社内SEの闇とはどのようなものか、また闇を抱えてしまう理由についてお話ししたいと思います。

■社内SEの闇-将来性
■社内SEの闇ー社内情シスの仕事の仕方
■社内SEの闇ー情シスへの期待値の低さ
■社内SEの闇ー雑用であってはいけない

*以降「情報システム部門」を「情シス」、「ITユーザー企業」を「ユーザー企業」と記します

■社内SEの闇-将来性
何故、ユーザー企業は「社内SE」を自社の正社員(情報システム部門)として採用するのでしょうか。
まず、ユーザー企業の情シスの仕事は「企画」「開発」「運用」と3分類することができます。
社内SEはこの「運用」が仕事で、本来はトラブルに対して改善提案を担うという重要な役割があるはずです。
しかし、多くの企業ではこの業務が単調であり、トラブル対応のみ要求され改善提案まで望まれていません
そのため、雑用のように見られることが多くあります。
正社員として採用したら、昇給させる必要もあるし、将来的にポジション・タイトルも必要になるでしょう。
雑用に明け暮れる人材にどのようにキャリアパスを設定するつもりなのでしょうか。
何処に将来性を見出すと言うのでしょうか?
では、正社員ではなく外注すれば良いのかというと、外注するにしても同様に雑用だけで終わらせてはならないと思います。
短絡的に考えて人を当て込んではいけません。
大型汎用機をオンプレで運用していた時代は、24時間の運用要員を張り付けるのが当たり前でした。
特に夜間はバッチ処理が終了するのを待って、テープでバックアップを取ったりするのが運用要員の仕事でした。
※ちょっとカルトだがLBP用の紙が入っていた段ボールを休みなく潰して畳むのが重労働だったと言う話もある
夜間処理が正常終了したらリブート(再稼働)させ、ホストや全国の端末の正常運用を開始(リアルスタート)すると夜勤の仕事は終了し、日勤の運用要員に交代します。
こういった定常的な運用仕事も、現在ではロボティクスも含め自動化が進み無人化が進んでいます。
自社社員を社内SEとして配置するのは、システム運用の設計を手抜きしたからではないのかと勘繰ってしまいます。
「ITに投資する予算がない」と言うかもしれないが、社内SEを雇用する将来コストを考慮すべきだと思うのです。
「TCO(Total Cost of Ownership)」という言葉があります。
簡単に言うと、システムを保有するために掛かる全てのコストを把握しなさいという考え方です。
社内SEを配置している企業では「人件費は別勘定」に計上して誤魔化しているのではないでしょうか。
本来、しっかりと運用費用に計上してTCOの中に入れ込まなければなりません。
この考え方ができていないのなら「企画」が仕事をしていないということです。
その結果、将来性を見出せない社内SE要員が生まれてしまいます。
冒頭、情シスの仕事は企画・開発・運用と言いましたが、この理解が乏しいということは情シスがまともに機能していないことを示しています。


■社内SEの闇-社内情シスの仕事の仕方
社内情シスはどのような仕事をすべきなのでしょうか?
世の中にはPDCAサイクルというものが存在します。
ご存じかと思いますが、Plan Do Check Action の略で、モノゴトを進行する時のプロセスを端的に表しています。
当然のことながら「情シスのお仕事」もこうでなくてはいけません。
「あ、当社は『Do Do Do Do』かもしれない」
(そう気付いた経営者の方、弊社に直ぐにご連絡ください)
ちなみに、Planと言うのは少なくとも中期計画が正しく立案できることを指します。
(IT投資)Project予算獲得の為の資料を作成しプレゼンする能力ではありません。
さて、何故『Do Do Do Do』になるのか考えてみましょう。
私は、かなりの確率で原因になっていることを知っています。
ITベンダーから人を引き抜き、自社の情シスに配属しているのではないでしょうか。
または、その昔、そうしていたのかもしれません。
そのケースでは殆どの場合『Do Do Do Do』の情シスになってしまうのです。
果てに、この情シスは「『IT投資の経営への貢献』が全く見えない」状況にしてしまいます。
こんな仕事の仕方に陥ってはならないのです。
より一層、経営のIT投資への意欲を減退させ、結果社内SEを雑用に貶めてしまいます。方

社内情シスはどのような仕事をすべきなのでしょうか?
世の中にはPDCAサイクルというものが存在します。
ご存じかと思いますが、Plan Do Check Action の略で、モノゴトを進行する時のプロセスを端的に表しています。
当然のことながら「情シスのお仕事」もこうでなくてはいけません。
「あ、当社は『Do Do Do Do』かもしれない」(
そう気付いた経営者の方、弊社に直ぐにご連絡ください)
ちなみに、Planと言うのは少なくとも中期計画が正しく立案できることを指します。
(IT投資)Project予算獲得の為の資料を作成しプレゼンする能力ではありません。
さて、何故『Do Do Do Do』になるのか考えてみましょう。
私は、かなりの確率で原因になっていることを知っています。
ITベンダーから人を引き抜き、自社の情シスに配属しているのではないでしょうか。
または、その昔、そうしていたのかもしれません。
そのケースでは殆どの場合『Do Do Do Do』の情シスになってしまうのです。
果てに、この情シスは「『IT投資の経営への貢献』が全く見えない」状況にしてしまいます。
こんな仕事の仕方に陥ってはならないのです。
より一層、経営のIT投資への意欲を減退させ、結果社内SEを雑用に貶めてしまいます。


■社内SEの闇-情シスへの期待値の低さ

経営にも問題があります。
経営トップ(概ね社長)にお会いする際に、私がお尋ねすることがあります。
「情シスの正社員への期待は、ITデリバリー(開発、保守運用)とITマネジメント(調査・企画)とどちらに重きを置きますか?」
すると、ITマネジメントという領域があるのか?と返されることが殆どです。
さらに、情シスへの期待を尋ねてみると、
「フロントラインの社員を楽にしてやって欲しい」
そんなことを、何ら悪びれことも無く言われることがあります。
このような考え方は、ITの価値が貶められてしまうのです。
社員を楽にするのがITの役割ではありません
、そもそも社員が「しんどい思い」をしているのはITの問題なのでしょうか?
会社の構造が歪んでいるから「しんどい思い」をしている社員が多いのではないでしょうか。
では、会社の構造改革をIT部門に命じているのかというとそうでもない。
機械化による合理化・省力化に期待を寄せるだけです。
IT部門は、全社を見渡せる位置に存在しています。
ただ、経営ではないので各部署のどこに優先投資をしたら良いのかは決められません。
しかし、判断材料とする情報を持ち得るし、経営企画の素養を必要とするような部署です。
経営が悪いのかと問われると、半分正解で半分は間違いでしょう。
経営が正しく期待しないのも問題ですが、情シス側がデリバリーにしか能力がないのも問題です。
鶏と卵の話ではありませんが、私は両方が同時に「学ぶ」ように勧めています。
経営と情シスが、同時に成長することで情シスに対する正しい期待値が形成され、ITの価値が向上するのです。
そうなれば、社内SEの役割も見直され本来の役割を求められるようになるはずです。


■社内SEの闇-雑用であってはいけない

社内に設置されているパソコンなど情報システムリソースはハードウェアにしろソフトウェアにしろ不具合が発生することが多いものです。
実は特に多いのはパスワードリセットです。
『助けてください!』と言われて現場に飛んでいき(今はリモートも多いかもしれません)現象を確認、不具合の原因を特定したら、マニュアル通りに修復をする。
社内SEはトラブルを治癒することで現場からは感謝されるかもしれません。
しかし「現場で喜ばれている」が「経営にとって価値の高い仕事」とイコールとは限りません
キャリアアップを如何にするのかも考慮すべきだし、価値の高い仕事に転換していく努力も必要です。
社内SEの仕事は雑用であってはならないのです。
そのために「情報システム部門」そして「IT」の仕事を貶めるようなトラップにかかってはいけません。


社内SEを務める皆さんは、どうお考えになるでしょうか。


合同会社タッチコア 代表 小西一有


ゼヒトモ内でのプロフィール: 合同会社タッチコア, ゼヒトモのコンサルティングサービス, 仕事をお願いしたい依頼者と様々な「プロ」をつなぐサービス