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File 4:支援システムの勘違い(営業編)

営業員の育成にシステムは貢献するか

業務支援システムは数々ありますが、その中でもよく適用方法を勘違いされているのが、営業支援システム(SFA)と呼ばれるものです。

勘違いで導入されてしまったそのシステムを名付けるなら、「躾システム」でしょうか。

営業支援システムは、営業組織を強化することを目的に、スムーズな顧客管理と営業活動の進捗状況を共有し、営業プロセスを明確化し、営業員を支援するというメリットがあげられます。

しかし、営業員は「システムに情報入力する手間が惜しい」と言い、管理職は「締日までに情報を入力させること」が仕事という始末になっているケースが、本当によくあります。

これでは「躾システム」です。当然、営業員の育成には貢献しないでしょう。

支援システム導入の前にわかっておくこと

まず、絶対に「システムで規定した通りに営業員は行動する」と思い込まないこと。

これは、よくある失敗で、「システムさえ用意すれば、ユーザーは使うに違いない」という思い上がりから生じます。

「きちんとシステム導入の際に、営業部に必要な情報や項目をヒアリングしたのに」と多くのシステム担当者は証言します。

でも、ユーザーは、そんなに簡単ではないのです。

ユーザーは、自身にベネフィット(便益)が無ければシステムを使って何かをしようとは思いません。

当然のことながら「十分なデータをシステムに投入する」なんて面倒なことは、絶対にしません。

それが、命令であったとしても、です。

”入力完了”と表示させるためだけに簡略(不十分)な情報を投入するだけ。

しかし、ユーザーにベネフィットがあれば、当然使うことになるでしょう。

支援システムの必勝法

イマイチの成績の営業員だって成長し、仕事がしたいのです。

サボっている訳ではなく、次に何をすれば良いのかわからない、迷っているのです。

訪問記録、週報、日報、どんな形であれ確実に入力させるためには、上司が必ず見て、コメントを返して正しくコーチングする必要があります。

”承認”のボタンをクリックするだけでは駄目です、それではデータを入力する動機が変化しません。

自身で考え自身で行動出来るように、管理職が指導方法を変える。支援システムの必勝法は「管理職の根本的教育」なのです。

そう、このことにシステム導入は関係はありません。

そこそこの規模の企業になれば「管理職研修」といったものは実施されていますが、大概は不十分なものです。

まず、システム導入掛かる費用を、管理職育成のために使ってほしい。

そして、管理職の仕事(指導)の仕方が変化を見せ始めた時、システムを導入を検討していただきたいのです。

環境はシステム化では変わらない

営業支援システムが、不要だと言っているわけでは決してありません。

多くの企業(業種)で、営業員は各々固有のノウハウの中で行動することが多いと聞きます。

上司は「俺の背中を観て育て」「努力と根性」など、KKD(勘と経験と度胸)の世界を部下に伝授し、旧態依然と時間外に行う報連相という負担を強いてきました。

これらを明確化・体系化して、システムに実装したというのであれば、特異で、その意味では大変素晴らしいと思います。

しかし、デキル営業員たちはこう言うでしょう。

「自分で、見て考えて実行すべき。それが出来ないのなら、営業に向いていない」

こういうセリフがなくなる環境を作らなければ、会社は持続的に成長しないのではないでしょうか。

システム化とは別に、人的な指導の機会は、常に必要だと思うのです。