TouchCore Blog | 第2回:経営における「情報」の特性とアドバイザーの役割
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第2回:経営における「情報」の特性とアドバイザーの役割

経営資源といえば「人・物・金」が三本柱とされてきました。しかし、30年以上前からここに「情報」を加えた「四大経営資源」という考え方が定着しています。今や情報は企業活動に不可欠ですが、実際には日本企業がこの資源を十分に活用できているとは言えません。


情報の特異な性質

人・物・金と比べて、情報には大きな違いがあります。

・どれだけ使っても磨り減らない
・正しく使えば人を正しい方向へ導き、誤って使えば人を惑わせる

・入手や拡散のコストは低いが、信頼性を担保するには高い専門性と倫理観が必要

つまり、情報は他の資源以上に「扱い方」が重要なのです。

情報を軽視してきた日本の経営

残念ながら日本では、経営者が「情報」を軽んじてきた歴史があります。経営判断は「勘と経験と度胸(KKD)」に依存し、データや情報を戦略に反映させる文化が根づいてきませんでした。

これは、情報の本質―「人々の気持ちを動かす資源である」という性質を理解していなかったからです。正しい情報は組織を正しい方向に動かし、誤った情報は誤った方向に導きます。経営者が情報を軽視すれば、必然的に意思決定は直感に依存し、誤った方向に流れやすくなるのです。

情報は「人を動かす経営資源」

情報は単なるデータの集積ではありません。人の気持ちを動かし、行動を変える力を持っています。正しい情報が組織を鼓舞し、顧客を動かし、新しい市場を拓きます。一方、誤情報は人々を惑わせ、組織を誤った方向に導いてしまう危険があります。

だからこそアドバイザーは、情報を単なる効率化や自動化の材料としてではなく、経営における戦略的な資源として扱う必要があるのです。

アドバイザーが守るべき二つの条件

アドバイザーが「客観的で公正な情報」を提供するためには、最低限守るべき条件があります。

・情報源が客観的で公正であること
特定のベンダーや立場に偏った情報ではなく、一次情報や信頼性のあるデータに基づくこと。

・アドバイス以外の収益源を持たないこと
開発案件や製品販売を後ろに控えていると、どうしても助言が恣意的になってしまいます。特にシステム開発は金額が大きいため、無料で情報をばらまいて案件受注につなげる“アドバイザーもどき”が存在します。これは最悪のケースです。

アドバイザーの情報提供が信頼されるかどうかは、この二つにかかっています。

情報は「高価」であるべき理由

公正で客観的な情報は、本来「高価」であるべきです。なぜなら、他の収益源を持たないアドバイザーは、情報提供そのものに正当な対価を求めるしかないからです。

日本では「情報は無料で得られるもの」という悪習が根強く、そのために誤情報に踊らされる企業が後を絶ちません。欧米では、客観的で信頼できる情報には相応のコストがかかることは常識であり、それが企業経営の質を支えているのです。

皆さんへ

あなたの会社が依拠している情報は、本当に客観的で公正でしょうか?
その情報は誰が、どのような目的で提供しているものでしょうか?

情報は人を動かす経営資源です。だからこそ、アドバイザーには「恣意を排し、公正な情報を提供する資質」が求められるのです。

明日(第3回)は、「アドバイザーに必要な資質とは何か」と題し、情報を扱う倫理観と収益構造の透明性に焦点を当てます。


合同会社タッチコア 小西一有


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