TouchCore Blog | Weekly:第2回:「現場の抵抗が強くて…」は本当か?
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Weekly:第2回:「現場の抵抗が強くて…」は本当か?

システム導入や業務改革が思うように進まないとき、必ずと言っていいほど聞く言葉があります。
「現場の抵抗が強くて……」
実は、この一言はとても便利です。
説明をしなくても済みますし、責任の所在も曖昧にできる。
でも本当に、問題は「現場の抵抗」なのでしょうか。
もしあなたが現場だったら、賛成するでしょうか。少し視点を変えてみましょう。
あなたが、その改革の「現場側」だったとしたら。
•作業は増える
•判断は厳密になる
•失敗は記録として残る
•しかし評価制度は変わらない
この状況で、あなたは心から改革を歓迎できるでしょうか。
多くの人が、無意識にこう考えるかもしれません。
「うまくいけば会社の成果、失敗すれば現場の責任」
まあこれは感情論ではなく、極めて合理的な判断かもしれません。


▶抵抗の正体は「感情」ではなく「構造」

現場が抵抗しているように見えるとき、実際に起きているのは次のようなことです。
•作業量と責任のバランスが崩れている
•判断権限と責任の範囲が一致していない
•評価指標が変化後の業務に対応していない
つまり、変化そのものに抵抗しているのではなく、不利になる構造に抵抗しているのです。
それをひとまとめにして「現場の意識が低い」「変化を嫌がっている」と片づけてしまう。
これが、改革が失敗する典型パターンです。

▶「協力してもらう」という発想の限界

よくある対策として、こんな言葉が使われます。
•現場に丁寧に説明する
•協力をお願いする
•意識改革を行う
もちろん、説明や対話は重要です。
しかし、それだけでは状況は変わりません
なぜなら、問題は理解不足ではなく不整合な仕組みにあるからです。
どれだけ丁寧に説明しても、自分にとって不利な構造を、人は進んで受け入れないものです。

▶「現場を巻き込んだ」は免罪符にならない

もう一つ、よく聞く言葉があります。
「現場を巻き込んで進めています」
確かに、ヒアリングや説明会は実施されているでしょう。
でもその多くは、
•決まった前提を説明する場
•要望を聞いた“ことにする”場
になっていないでしょうか。
現場が関与すべきなのは、画面レイアウトの話ではありません。
•誰が決めるのか
•誰が責任を負うのか
•失敗したとき、誰が矢面に立つのか
この部分に関与できていなければ、それは「巻き込んだ」ことにはなりません。

▶現場は敵ではない

ここで、はっきりさせておきたいことがあります。
現場は、改革の敵ではありません。
むしろ、最も影響を受ける当事者です。
当事者にとって合理的でない改革が、うまくいくはずがない。
それを「抵抗」と呼ぶか、「警告」と受け取るかで、その後の展開は大きく変わるでしょう。

▶次回予告

では、こうした問題に直面したとき、なぜ人は次の一手として「もっと高度なIT」や「AI」に期待してしまうのか。
次回は、「次はAIを入れれば解決する」という思考の罠を扱います。

合同会社タッチコア 小西一有

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▶情報システムと影響システムー正しいITが壊すもの(全4回)今後の予定◀

第1回:ある一言が改革を失敗させる(1/19)

第2回:「現場の抵抗が強くて…」は本当か?(1/26)

第3回:「次はAIを入れれば解決する」―技術が問題を増幅させる(2/2)

第4回:第4回:情報システムに影響システムを合わせる極悪非道(2/9)