TouchCore Blog | 第1回(1/5):なぜあなたのアイデアは「他にもある」と言われるのか ―人口構造問題と環境問題が示す“凡庸化の構造”
TouchCore Blog

第1回(1/5):なぜあなたのアイデアは「他にもある」と言われるのか ―人口構造問題と環境問題が示す“凡庸化の構造”

「それ、他にもありますよね。」

新規事業やイノベーション提案の場で、この一言を言われた瞬間、構想は静かに終わります。

努力不足ではありません。発想力がないわけでもありません。問題は、考え始めた“前提”が他と同じだったことにあります。

その典型例が、人口構造問題です。

少子高齢化が進み、労働力人口が減少している。すると多くの議論は、次の方向に向かいます。

・外国人労働者を増やす
・女性の就労率を上げる
・高齢者の再雇用を進める
・DXで生産性を高める

どれも正しい。しかし冷静に見れば、すべて同じ前提の上に立っています。

「労働力を維持する」前提です。

つまり、今の経済構造を維持する前提のまま、穴を埋めようとしている。

だから構想は似通います。そして「他にもある」と言われるのです。

環境問題も同じです。

プラスティックによる海洋汚染が問題になると、

・回収効率を高める
・リサイクル率を上げる
・分解性素材を開発する

といった案が出てきます。これも間違いではありません。

しかし、ここにも共通前提があります。「生産し続ける」前提です。

生産する。
消費する。
廃棄する。

その構造は維持したまま、被害だけを減らそうとする。

これでは競争優位は生まれません。

なぜなら、同じ前提に立つ限り、解は収束するからです。

多くの人はここでこう言います。

「でも、現実的には仕方がない。」

この言葉が出た瞬間、思考は止まっています。

イノベーションが生まれるのは、「仕方がない」と思っている前提を疑ったときです。

人口構造問題であれば、

・そもそも“労働”は本当に必要なのか?
・所得と労働は分離できないのか?
・成長しない経済は成立しないのか?

環境問題であれば、

・そもそも“生産しない”という選択はあり得ないのか?
・所有しないビジネスモデルは構築できないのか?
・廃棄を前提としない構造は描けないのか?

こうした問いに踏み込んだ瞬間、議論は不安定になります。

そして多くの人は、その不安定さを避けます。

改善案に戻る。
技術論に逃げる。
実現可能性の話に移る。

結果として、
「よくある構想」が量産される。これが凡庸化の構造です。

新イノベーション創造講座では、まずこの構造を徹底的に可視化します。

アイデアを出す前に、自分がどんな前提に立っているのかを書き出す。

人口構造問題と環境問題は、その訓練に最適なテーマです。

なぜなら、

・感情が入る
・正義が絡む
・現実論が強く出る

つまり、
前提が最も固定化されている領域だからです。

本講座は、答えを教える場ではありません。

前提が揺れる不快さを体験する場です。

もしあなたが、「他にもある」と言われた経験があるなら。

それは能力不足ではありません。前提が見えていなかっただけです。

次回は、
なぜ人はテクノロジーや改善に逃げるのか。
その心理構造を、人口構造問題と環境問題を使って掘り下げます。

合同会社タッチコア 小西一有

「4月期イノベーション創造(アイディア創出)講座」申し込み/詳細はこちら