
多くの経営コンサルティング会社は、「戦略立案」を主な提供価値としています。市場分析を行い、競争優位を整理し、中期計画を策定する。
あるいはDX戦略を描き、ロードマップを示す。
そこまでで契約が完了するケースも少なくありません。
戦略立案そのものは重要です。
しかし、戦略は紙の上では機能しません。
経営者の頭の中で描かれた構想を、組織が動く“構造”に翻訳しなければ、戦略は実行されません。
問題はここにあります。
多くのコンサルティングは、「何をやるべきか」までは示しますが、「どういう構造に変えなければ動かないか」までは踏み込みません。
たとえば、
「顧客起点の経営へ転換すべきだ」という戦略を掲げたとします。
では、その瞬間に問われるべきことは何でしょうか。
・営業部門の評価制度は変わっているか
・商品開発プロセスは顧客データと接続されているか
・意思決定は部門横断で行われているか
・顧客情報は一元化されているか
ここまで設計しなければ、「顧客起点」は掛け声で終わります。
DXも同じです。
「データ活用を進める」と言いながら、
業務プロセスが分断されていれば、
ITをいくら入れてもデータは流れません。
戦略とは方向性です。
構造とは動く仕組みです。
方向だけ示しても、車輪が噛み合っていなければ前には進みません。
私たちの仕事は、この“噛み合わせ”を設計することです。
具体的には、
・戦略を前提にした部門役割の再定義
・業務プロセスの再設計
・意思決定経路の明確化
・情報とITの再配置
これらを分断せず、一体で設計します。
なぜここまでやるのか。
それは、中堅企業において最も大きなコストが「調整コスト」だからです。
部門間のすり合わせ。
責任の押し付け合い。
曖昧な権限。
属人的な判断。
これらは財務諸表には現れません。
しかし確実に経営のスピードを奪っています。
多くの経営コンサルは、この調整コストを“前提条件”として扱います。
私たちは、それを“設計対象”として扱います。
ここが決定的な違いです。
そのため、私たちのプロジェクトは時に痛みを伴います。
部門の境界線を引き直すことになるからです。
意思決定権限を明確化することになるからです。
既存の成功体験にメスを入れることになるからです。
しかし、構造を変えなければ、
経営は変わりません。
助言は、いつでも受け入れられます。
構造変更は、覚悟が必要です。
私たちが支援しているのは、「考え方」ではなく、「動く仕組み」です。
経営者が本気で会社を変えたいと考えるなら、
必要なのは戦略資料ではありません。
戦略が機能する構造です。
私たちはアドバイス業ではありません。
戦略を構造に落とす設計業です。
次回は、なぜDXが失敗するのか。
その原因がITではなく、業務構造にある理由についてお話しします。
合同会社タッチコア 小西一有
第1回(1/5):なぜ経営コンサルは「違いが分からない」のか