TouchCore Blog | DX・IT:第3回 DX・AI投資は、本当に経営力向上になっているのか
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DX・IT:第3回 DX・AI投資は、本当に経営力向上になっているのか

DXやAIの導入に対して、現場はしばしばこう考えます。

楽になるなら歓迎です。

入力が減るなら助かります。

集計が自動化されるならありがたいです。

問い合わせ対応が減るなら使います。

これは、とても自然な反応です。

現場は忙しい。

日々の業務に追われている。

人手は足りない。

納期もある。

お客様対応もある。

突発的なトラブルも起きる。

その中で、新しいシステムやAIを使えと言われる。

現場からすれば、まず問いたくなるのは当然です。

「それで、私たちの仕事は楽になるのですか」

私は、この反応を責めるべきではないと思います。

むしろ、現場がそう考えるのは当たり前です。

問題は、そこから先です。

DXやAIの目的が「現場を楽にすること」だけに閉じてしまうと、経営力向上にはなりません。

作業時間が少し減った。

入力が少し楽になった。

資料作成が少し速くなった。

問い合わせ対応が少し減った。

それは良いことです。

しかし、それだけで会社は強くなったのでしょうか。

現場の知は、会社の力になったのでしょうか。

顧客価値は高まったのでしょうか。

経営判断は速くなったのでしょうか。

部門間の調整は減ったのでしょうか。

人が替わっても、同じように仕事が回るようになったのでしょうか。

ここを問わなければ、DXやAIは単なる作業軽減で終わります。

現場は、変革を嫌っているわけではありません。

ただ、現場にとって「変革」という言葉は、しばしば危険な響きを持ちます。

仕事のやり方が変わる。

覚えることが増える。

入力項目が増える。

報告が増える。

責任が増える。

今まで何とか回していた仕事が、見える化される。

そうなると、現場は身構えます。 

楽になるなら歓迎。

でも、余計な仕事が増えるなら困る。

責任だけ増えるなら困る。

現場の事情を知らない人に、業務をいじられるのは困る。

この感覚は、とてもよく分かります。

現場は、これまで多くの構造不備を吸収してきました。

曖昧なルール。

不十分な情報。

部門間の調整不足。

使いにくいシステム。

後から集めるデータ。

人によって違う判断基準。

それでも、現場は何とかしてきた。

だから、現場からすれば、こう言いたくなるのです。

「これ以上、面倒なことを増やさないでほしい」

しかし、このままでは会社は変わりません。

現場を楽にすることは大切です。

しかし、現場を楽にするだけでは不十分です。

本当に必要なのは、現場の知を会社の力に変えることです。

現場がなぜ迷ったのか。

どこで判断に困ったのか。

どの情報が足りなかったのか。

どの調整に時間がかかったのか。

どの顧客の反応に違和感があったのか。

こうした現場の知が、業務の中で記録され、情報となり、判断に使われ、次の改善に戻っていく。

そこまで設計されて初めて、DXやAIは経営力向上につながります。

現場を楽にすることと、会社を強くすることは、対立するものではありません。

むしろ、本来はつながっているべきです。

現場のムダが減る。

必要な情報が自然に残る。

判断に迷う場面が減る。

属人的な調整が減る。

お客様への対応が速くなる。

経営が現場の変化を早くつかめる。

こうなって初めて、現場も楽になり、会社も強くなります。

ところが、ここを設計しないままDXやAIを導入すると、現場にはこう見えます。

また入力が増えた。

また新しい画面が増えた。

また報告が増えた。

また本部が見たい数字のために作業が増えた。

これでは、現場が前向きにならないのは当然です。

現場の抵抗を責める前に、問うべきことがあります。

その仕組みは、現場の作業を減らすだけなのか。

それとも、現場の知を会社の力に変えるものなのか。

そのAIは、現場の仕事を少し楽にするだけなのか。

それとも、現場の違和感を経営判断につなげるものなのか。

そのシステムは、入力を増やすだけなのか。

それとも、判断に必要な情報を業務の中で生み出すものなのか。

現場は「楽になればよい」と考えがちです。

しかし、それは現場が悪いからではありません。

これまで、現場が会社の構造不備を背負わされてきたからです。

だからこそ、DXやAIを経営力向上につなげるには、現場を責めてはいけません。

現場の知を、会社の構造に実装する。

現場の負担を、会社の学習に変える。

現場の違和感を、経営の判断材料に変える。

ここまで設計する必要があります。

楽になることは大切です。

しかし、問うべきことはそれだけではありません。

その投資で、現場は何が楽になるのか。

そして、会社は何ができるようになるのか。

この二つをつなげて初めて、DX・AI投資は経営力向上になるのです。

合同会社タッチコア 小西一有

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