
新しい方針を示し、部門長に具体策を任せた。
ところが、上がってくるのは小さな改善ばかり。
「もっと大胆に考えてほしい」と伝えても、期待する提案が出てこない。
現場の知恵を生かしたい。自ら考えて動いてほしい。
そう願って任せたのに、なぜ進まないのでしょうか。
一度確認したいのは、現場が提案を考えるうえで必要な前提まで、現場に預けていないかということです。
「大胆に考えてよい」と「変更を決められる」は違う
例えば、顧客への納期回答を早めるために、営業部門へ具体策を求めたとします。
営業担当者は、こう考えるかもしれません。
「一定の条件なら、製造部門への個別確認を省いて回答できないか」
しかし、それを実現するには、営業だけでは決められないことがあります。
どの注文を優先するのか。
どの条件まで営業の判断で回答してよいのか。
回答に必要な情報を、製造部門がいつ更新するのか。
例外やトラブルが起きたとき、誰が判断するのか。
顧客への回答を早めるには、複数部門の仕事や責任を変える必要があるのです。
そこが決まらないままでは、営業部門が実行できる案は、入力の簡略化や確認メールの定型化などに限られがちです。
提案の小ささは、現場の発想力だけの問題とは限りません。変更できる範囲が見えないことも、その理由になります。
経営が示したい三つの前提
具体策を現場に委ねる際には、少なくとも次の三つを明確にしたいところです。
「顧客対応を改善する」から踏み込み、対象と到達点を共有します。
例えば、「標準的な注文は、その場で納期を回答できるようにする」。
目指す状態が具体的になれば、現場も、その実現に必要な変更を考えられます。
2.何を変更の対象にできるのか
既存の部門分担や承認手順も見直してよいのか。
予算や人員の再配分を含めて提案してよいのか。
守るべき品質や採算の条件は何か。
検討してよい範囲と、守るべき条件を示します。変更を提案する権限と、変更を承認する権限も区別しておきます。
部門間で意見が割れたとき、誰が判断するのか。
現場だけで解決できない事項を、どこへ持ち込めばよいのか。
責任者と判断の場を決めておけば、現場は未解決事項を抱えたまま、提案を縮小せずに済みます。
3.任せた後にも、経営の仕事は続く
すべての答えを経営が先に用意する必要はありません。現場で検討して初めて分かる制約や、実現可能性もあります。
大切なのは、現場から上がってきた論点を受け取り、優先順位や資源配分、部門をまたぐ責任について判断することです。
「具体策は任せる。その実現に必要な経営判断は引き受ける」
この関係があってこそ、現場は今の枠を超えた案を具体化できます。
方針と現場の提案がかみ合わないときに
合同会社タッチコアは、経営者・事業責任者とともに、実現したい企業能力を具体化し、経営が決める事項と、現場で設計する事項を整理します。
「任せたのに、期待した提案が出てこない」
そのときは、示した方針と、上がってきた提案をお聞かせください。両者の間で何が決まっていないのかを整理し、実行につながる業務・権限・責任の設計を支援します。
合同会社タッチコア
小西 一有
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