経営・戦略:その中期経営計画に、5年後の「選ばれる理由」はありますか

中期経営計画の策定が進むと、経営会議にはさまざまな数字や施策が並び始めます。
5年後の売上高はどこまで伸ばすのか。利益率をどう改善するのか。
そのために、AIを活用した生産性向上やビジネスプロセス改革を進めていく。
それぞれの施策には、もっともな理由があります。
担当部門も目標を定め、実行計画をつくり、必要な投資を積み上げていきます。
しかし、中期経営計画を策定しながら、あるいは説明を受けながら、こんな疑問を感じたことはないでしょうか。
「この計画を実現すると、お客さまにとって、当社はどう変わるのだろう」
自社が達成したい数字は明確でも、顧客がその会社を選ぶ理由がどう変わるのかは、見えてこない。
だとすれば、その中期経営計画は、いったい何を実現するためのものなのでしょうか?
自社のコストを下げても、顧客の負担が減るとは限らない
自社のコスト削減には意味があります。
事業を継続するためにも、将来の投資余力を確保するためにも必要です。
ただし、自社の費用が下がることと、顧客が利益を得ることは、自動的にはつながりません。
何を変えて顧客へ届けるかを決め、実行して初めて、削減の成果が顧客の利益につながります。
例えば、受注処理にかかる時間を大幅に短縮したとします。
これまで担当者が手作業で入力していた注文情報は自動的に処理され、社内の確認作業も減り、業務に必要な人手や時間が削減された。
ところが、顧客から「注文した製品は、いつ届きますか」と問い合わせが入ると、営業担当者は相変わらず製造部門に確認しなければならず、製造部門も調達状況を確認する必要があり、回答までには以前と同じように時間がかかっている。
これでは、企業にとっては効率化の成功であっても、顧客にとっては、その成果を実感できないということなのです。
顧客は、回答を待つ間生産計画を確定できず、場合によっては余分な在庫を確保したり、別の調達先を探したりする必要もあります。
こうした時間、手間、不確実性への備えも、顧客が負担しているコストです。
自社の費用だけを見ていては、その実態を捉えられません。
5年後、顧客から何と言われる会社になりたいのか
例えば、5年後の顧客に、こう言ってもらいたいとします。
「この会社なら、注文前に納期の見通しが分かる。だから、こちらも安心して計画を立てられる」
これは、単なる顧客満足度の向上という話ではありません。
会社として実現すべき能力を示しています。
実現するには、営業担当者が在庫や生産余力を確認できること、約束できる納期を判断できること、変更の兆候を捉えて顧客へ知らせられることが必要です。
営業、製造、調達、物流が、それぞれの仕事を改善するだけでは届かないかもしれません。
顧客が計画を立てられる状態を目指し、仕事と情報、判断と責任をつなげて設計する必要があります。
ここで、E2Eでプロセスを見直す目的が具体的になります。
成長目標を支える、顧客側の理由を描く
「売上高を増やす」という目標には、顧客が購入を増やす、新たな顧客が選ぶ、継続して利用するといった行動が必要です。
その行動を生む価値を、何によって提供するのでしょうか。
価格が安くなるからかもしれません。
品質が高まるからかもしれません。
しかし、価格や品質だけではなく、安心して仕事を任せられることや、困ったときに迅速に対応してもらえることが、選ばれる理由になる場合もあります。
どの価値が選ばれる理由になるかは、顧客を知り、仮説を確かめる必要があります。
もちろん、経営の願望だけで決めることはできません。
それでも、目指す顧客との関係が明確になれば、何を確かめ、どのような能力を獲得し、何に投資すべきかを考えられるようになります。
売上目標と業務改革、IT投資が、ようやく一つの筋道でつながっていくのです。
このつながりがあってこそ、成長目標とビジネスプロセス改革を結び付けて説明できます。
中期経営計画は、顧客との未来を描くもの
中期経営計画を見直すとき、売上や利益の数字を確認することはもちろん必要です。
生産性向上やコスト削減の施策も、企業経営には欠かせません。
しかし、それだけでは5年後に顧客から選ばれ続ける理由を説明することはできません。
「この改革が実現すると、顧客は何に困らなくなり、何ができるようになるのか」
その価値を実現するために、今の会社には何が足りず、どのような仕事の仕組みへ変わる必要があるのか。
こうした問いに向き合うことが、経営計画の出発点になるはずです。
合同会社タッチコアは、経営者・事業責任者とともに、顧客から選ばれる理由と、それを実現する企業能力を具体化し、業務・情報・ITの設計につなげます。
「成長目標と施策はある。しかし、顧客にとって何が変わるのかを説明しきれない」
そんな違和感がある方は、現在の構想をお聞かせください。
顧客について何を確かめ、経営として何を決める必要があるかを、一緒に整理しませんか。
合同会社タッチコア
小西 一有
経営リフレーム ミーティング
ー見えている問題と、変えるべき問題は違う
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