
単体の工夫は真似されます。二つ三つの要素を噛み合わせると、急に真似されにくくなります。
今回は、①進歩の源泉、②面倒解消の仕組み、③収益連動(価値メトリクス)の三位一体で複合を作る手順を示します。
まず進歩の源泉を特定します。
精度(誤差や外れの減少)、速度(導入〜成果までの短縮)、安心(障害時の一次切り分け・保証)、体験(学習負担の低さ・気持ちよさ)のうち、どこを強くするか。
次に面倒の正体を名詞で列挙し、解消策を動詞で三つだけ決めます。
最後に価値メトリクスを選び、成果や利用量、削減リスクに比例させます。
例を二つ。
B2B SaaSなら、進歩=「予実ブレ減少」、面倒=「入力が面倒/会議が形骸化/危険案件の見落とし」、解消=「カレンダー自動起票/アジェンダ自動生成/予測アラート」。価値メトリクス=「有効商談×予測精度改善率」。
ここにサブスク+成果連動+データ資産によるスイッチングコストを複合すれば、見かけの同等品が現れても置き換えにくくなります。
装置メーカーなら、進歩=「立上げ初月の停止時間半減」、面倒=「稟議重い/調整長い/夜間障害怖い/教育追いつかない」、解消=「効果試算テンプレ/初日8h同席チューニング/一次切り分けSLA/1分動画×10」。価値メトリクス=「削減ダウンタイム時間×ライン数」。ここにアフター強化×結果連動×ノウハウ蓄積を複合します。
複合のコツは「二つだけから始める」こと。
盛り込み過ぎは実装を重くし、価値の核をぼかします。
二週間の試験運用で、導入日数/稟議通過率/活用率/一次切り分け時間のどれか二つを確実に動かし、効果が出た組み合わせを標準運用に格上げしましょう。
合同会社タッチコア 小西一有
第1回:価値とは「お客さまの進歩」である—“儲け”から切り離す再定義
第2回:価値は“実装”されてはじめて効く—Who/What/How/Valueの四点合わせ