TouchCore Blog | 第3回(3/5):なぜERP製品導入にブレーキをかける人は「敵」になってしまうのか
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第3回(3/5):なぜERP製品導入にブレーキをかける人は「敵」になってしまうのか

第2回では、なぜお客さまの目にSAPコンサルもITコンサルもDXコンサルも、すべて「ITの人」に見えてしまうのか、その構造を整理しました。

今回は、そこから一歩進めて、なぜ「SAP導入に慎重な人」が、単なる異論ではなく、

“敵(エナミー)”として扱われてしまうのかを考えたいと思います。

■ SAP導入は、いつの間にか「議論」ではなくなる

多くの企業でSAP導入は、検討段階を過ぎると、次のような意味を帯び始めます。

• SAP導入=DX

• SAP導入=改革

• SAP導入=正しい経営判断

この時点で、SAPは単なる業務システムではなく、経営の意思表明になっています。

つまり、SAP導入は「やるか/やらないか」を議論する対象ではなく、すでに選ばれた“正解” なのです。


■ そこで投げかけられる「不都合な問い」

その状況で、私が何をするかというと、次のような問いを投げかけます。

• その業務構造で、SAPは本当に使いこなせるでしょうか

• カスタマイズ前提になっていないでしょうか

• 導入後に調整コストが爆発しないでしょうか

これらは、SAPを否定する問いではありません。

成功条件を確認する問いです。

しかし、受け取られ方は違います。

この問いは、SAPそのものではなく、「その判断を下した人」を直撃するからです。


■ 「反対意見」ではなく「否定」に聞こえてしまう理由

人は、自分の意思決定を否定されると、冷静ではいられません。

特に、

• 経営会議で決めた

• 役員が旗を振った

• すでに社内説明を始めている

こうした状況では、SAP導入は個人の判断ではなく、組織の顔になっています。

そこに「本当に大丈夫ですか?」と問うことは、

技術的な確認ではなく、面子と正当性への挑戦に見えてしまいます。

その瞬間、問いを投げた人は、「議論相手」ではなく「邪魔者」になります。


■ なぜ「嫌われる」では済まないのか

ここが重要なポイントです。

SAP導入にブレーキをかける人は、単に「慎重な人」では終わりません。

• プロジェクトを遅らせる

• 空気を悪くする

• 経営判断を疑う

こうしたラベルが貼られ、次第に “敵” として位置づけられます。

これは感情論ではありません。組織防衛反応です。

組織は、自らの意思決定を守るために、それを揺るがす存在を排除しようとします。


■ 正しい人ほど、前に出るほど、敵になる

皮肉なことに、この構造の中では、

• 問いが鋭い人ほど

• 全体を見ている人ほど

• 本質的な問題を突く人ほど

早く、強く、敵認定されます。

なぜなら、その人の指摘は「修正可能なミス」ではなく、前提そのものを揺るがすからです。


■ 問題は性格でも伝え方でもない

ここで誤解してはいけません。

• 言い方が悪かった

• 空気を読めなかった

• コミュニケーション能力の問題

ではありません。

これは、意思決定が物語化した組織で必ず起きる現象です。

正しい問いを投げることと、好かれることは、両立しない場合があります。


次回は、この「敵認定」が起きたあと、組織の中で何が起きるのか。

議論が止まり、異論が消え、プロジェクトが“正解ルート”を走り続けてしまうメカニズムを整理します。

合同会社タッチコア 小西一有

第1回(1/5):なぜ私は「ERP製品コンサルと同業だね」と言われて傷ついたのか

第2回(2/5):なぜお客さまの目には、まるっと「ITの人」に見えてしまうのか