TouchCore Blog | Weekly:第3回「次はAIを入れれば解決する」―技術が問題を増幅させる
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Weekly:第3回「次はAIを入れれば解決する」―技術が問題を増幅させる

務改革やシステム導入が思うように進まないとき、次に出てくる言葉は、だいたい決まっています。

「今回のシステムがダメだっただけだ」

「次はもっと賢い仕組みにしよう」

「AIを使えば判断も自動化できるはずだ」

この発想は、一見すると前向きかもしれません。

しかし、多くの場合これは問題の先送りにすぎません。


▶技術は「足りない」から失敗しているのか

まず冷静に考えてみましょう。

•処理速度が遅いから、改革は止まったのか

•画面が使いにくいから、現場は困っているのか

•アルゴリズムが未熟だから、判断が滞っているのか

多くのケースで、答えは「NO」です。

問題はもっと手前にあります。

•誰が決めるのかが曖昧

•判断基準が共有されていない

•失敗したときの責任の所在が不明

この状態で技術だけを高度化すると、どうなるでしょう。


▶AIは「決断」ではなく「露呈」を加速する

AIを導入すれば、判断が自動化されます。

少なくとも、そう期待されてますが、実際には、AIはこう問い返してくるでしょう。

•何を最適化するのか

•どの基準を正とするのか

•例外は誰が引き取るのか

これらが決まっていなければ、AIは動けません。

そして無理に動かせば、次の問題が一気に表に出てきます。

•「なぜその判断になったのか」と説明できない

•想定外の結果が出たとき、誰も責任を取れない

•結局、人が裏で調整を始める

AIは判断を代替するどころか、組織が決めきれていなかったことを露呈させるでしょう。


▶技術を高度化するほど、問題は深刻になる

ここで重要な事実があります。

技術で解決できない問題は、技術を高度化すると、より深刻になります。

なぜなら、

•判断が速くなり

•影響範囲が広がり

•修正が難しくなる

からです。

曖昧なまま放置されていた問題は、これまでは「人の調整」で吸収されていました。

しかしAIや高度な情報システムは、その“余白”を許しません。

結果として、

•誰かが無理をする

•現場が疲弊する

•組織内に不信が生まれる

技術は中立ですが、影響は中立ではないのです。


▶それでも人は「次の技術」に期待する

それでもなお、口々に人は言うでしょう。

「今回は使いこなせなかっただけだ」

「もっと精度が上がれば大丈夫だ」

この思考の根底にあるのは、技術に問題を押し付けたい心理です。

•決めきれない

•引き受けたくない

•衝突を避けたい

そうした組織の曖昧さを、技術で覆い隠そうとするのです。

でも、いくら高度な技術を導入しても、技術は決める責任までは代行してはくれません。


▶見えてきた「本当の設計対象」

ここまで読んで、気づき始めている方もおられるでしょう。

問題は、

システムの性能でも、AIの精度でもありません。

本当に設計すべきだったのは、技術が介入したときに、人と組織がどう振る舞うか。

その仕組みではないでしょうか。

これまで曖昧にされてきたこの領域こそ、改革の成否を分けるのです。


▶次回予告

では、その「仕組み」とは何か。そして、誰がそれを設計すべきなのでしょう。

次回は、情報システムに影響システムを合わせるという「最低最悪・極悪非道」をテーマに、これまでの議論をすべて束ねていきます。

合同会社タッチコア 小西一有


▶情報システムと影響システムー正しいITが壊すもの(全4回)今後の予定◀

第1回:ある一言が改革を失敗させる(1/19)

第2回:「現場の抵抗が強くて…」は本当か?(1/26)

第3回:「次はAIを入れれば解決する」―技術が問題を増幅させる(2/2)

第4回:第4回:情報システムに影響システムを合わせる極悪非道(2/9)