
営業と製造の意見が合わない。
部門長同士で話し合っても決まらない。
最後は、自分のところに持ち込まれる。
双方の事情を聞き、優先順位を決めて、ようやく仕事が動き出す。
ところが、しばらくすると、似たような案件がまた戻ってくる。
「自分が間に入れば進む。でも、このままでは自分が離れられない」
そんな負担を感じている経営者・事業責任者の方はいませんか。
案件は解決しても、次の判断の仕方が決まっていない
例えば、急な注文への対応です。
営業は「重要な顧客なので、優先したい」と言う。
製造は「既存の注文への納期を守るため、予定を変えられない」と言う。
どちらにも理由があります。
責任者が、顧客との関係、既存の約束、追加費用、生産余力を踏まえて判断する。
その判断によって、今回の案件は進みます。
しかし、残された記録が「今回は、この注文を優先する」という結論だけなら、次の担当者には判断の根拠が分かりません。
何を優先したのか。
どの条件なら同じ判断をしてよいのか。
どの条件を超えたら、改めて責任者に相談すべきなのか。
そこが決まっていなければ、似た案件が再び同じ人に集まります。
繰り返す相談から、設計する対象を見つける
経営者が判断すべき例外は、これからもあります。すべての判断を現場へ移す必要はありません。
ただし、毎回持ち込まれる相談の中には、条件と権限を決めれば、担当者や部門長が判断できるものもあるはずです。
まず、最近引き取った調整を三件、振り返ってみてください。
・毎回、どの部門とどの部門の間で止まっているか。
・判断するために、どの情報を追加で集めているか。
・誰の権限でも決められないことは何か。
・最後に、自分は何を基準に決めているか。
共通する部分があれば、そこが仕事の仕組みを設計し直す候補です。
「次はどう決めるか」を設計する
急な注文への対応なら、例えば次の事項を定めます。
既存顧客への納期、品質、追加費用など、判断で守るべき条件。
条件を満たす場合に、受注や生産順序の変更を決められる役割。
判断に必要な情報と、その情報を更新する責任。
条件を超える場合の相談先と、回答期限。
これらを関係部門で確認し、実際の案件で機能するかを確かめます。
重要なのは、過去の判断をそのまま規則にすることではありません。
そのときの判断が、今後も使える条件に基づいていたのか、一度限りの事情によるものだったのかを分けて考えることです。
そのうえで、これからの仕事に必要な基準・権限・情報を組み立てます。
こうして、個人がその都度補ってきた判断を、組織として使える「設計知」にしていきます。
自分が処理する仕事を、いつまでも増やさないために
調整を引き取る力は、会社を支えてきた大切な力です。
一方で、その力を毎回の案件処理に使い続ければ、将来の事業を考える時間も、次の責任者を育てる機会も削られていきます。
次に同じ相談が来たとき、自分がいなくても決められる範囲を広げる。
そのための設計に、経験を生かしたいところです。
合同会社タッチコアは、経営者・事業責任者が繰り返し引き取っている調整を起点に、業務・判断基準・権限・責任・情報のつながりを整理します。
「先月も同じような調整をした」
その一件をお聞かせください。
なぜ同じ人に戻ってくるのか、次はどう決められるようにするかを、一緒に検討します。
合同会社タッチコア
小西 一有
[関連Blog]