TouchCore Blog | 第4回:小手先の改善と戦略はまったく別のものー 戦略とは“未来をつくる意思決定”である
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第4回:小手先の改善と戦略はまったく別のものー 戦略とは“未来をつくる意思決定”である

これまでの回で、中小企業の経営がいつまでも忙しさから抜け出せない理由について触れてきました。

要約すると、目に見える現象ばかりに手を打ち、見えない構造に向き合えていないからということでした。
今回の第4回では、この「現象(小手先)」と「構造(戦略)」の違いを、経営者がひと目で理解できるように整理していきます。

■ 小手先の改善とは、症状への対応である

まず“現象レベルの改善”とは、次のようなものです。
・営業を強化する
・商品を追加する
・チラシを改善する
・SNSを始める
・現場の業務をIT化する
・人を増やす
・広告費を増やす
どれも悪い取り組みではありません。現場の負荷が下がったり、売上が一時的に伸びたりと、確かに効果はあります。

しかし、これらには共通点があります。
① 効果の持続性が低いーすぐ効果が出るが、すぐに消える。
② 全て“現象”に対する処置であるー根本原因である“構造”には触れていない。
③ 社長の忙しさはあまり変わらないーむしろ、改修や追加対応で忙しさが増えることすらある。
つまり小手先の改善は、“目に見える痛み”を和らげる鎮痛剤 のようなものです。

問題は、痛みの奥にある原因(構造)はそのまま残っているという点です。

■ 戦略とは、“構造そのものをつくりなおす意思決定”である

では戦略とは何か?
戦略とは、未来を実装するための 構造づくりの意思決定 です。
具体的には次のような問いに答えることです。
・どの市場に“向かう”のか?
・どんな価値を提供する会社になるのか?
・出逢う新たな顧客は誰か?
・どの強みを育て、どの戦いを捨てるのか?
・どの活動に資源を集中させるのか?
・どんな業務構造・組織構造で戦うのか?
これらは“今の延長線”ではなく、未来のありたい姿から逆算して決める意思決定です。

よく誤解されますが、戦略は「選択肢を増やすこと」ではありません。
戦略とは、やることを決めることであり、もっと重要なのは“やらないことを決めること” です。
やらないことを決めなければ、経営は必ず忙しさに飲み込まれます。

■ 小手先 vs 戦略:決定的な違いをまとめるとこうなる

この対比を見れば、経営者がどこに時間を使うべきかは一目瞭然です。

■ なぜ多くの経営者が“小手先”を戦略だと勘違いするのか?

理由は3つあります。
① 小手先の改善は“成果がすぐに見える”ー経営者は即効性のある成果に弱い。しかしそれは持続しない。
② 戦略は“見えない構造”を扱うため時間がかかる。ーだから軽視されがち。
③ IT導入が“経営改善”と誤解されているーITはあくまで現象改善の技術であり、構造を変える力はない。
つまり、小手先は“楽しい”が未来はつくれない。
戦略は“地味”だが未来をつくる唯一の手段。
この違いを理解すると、経営の優先順位は大きく変わります。

■ 戦略は「未来へ向かうための整理整頓」

戦略と聞くと難しそうですが、本質を一言で言えばこうです。
「戦略とは、未来へ向かうために“必要なものだけ残し、不要なものを手放す”整理整頓の作業である。」
小手先の改善は、引き出しに物をどんどん詰め込み続ける状態。
戦略は、引き出しを空にして“未来に必要なものだけ”に揃える作業。
どちらが会社の未来をつくるかは、明白です。

■ 戦略が決まると、現場が“楽になる”という逆転現象

多くの中小企業では、
「戦略を考えるとやることが増える」
「現場が大変になるのでは?」
と誤解されています。しかし事実は逆です。
戦略があると、
・やらなくていい仕事が圧倒的に減る
・判断の軸が一本通る
・社員が迷わなくな
・投資の優先順位が明確になる
・経営者自身の負荷が下がる
つまり、戦略は現場の“苦労を減らすため”に存在しているのです。

■ 次回はいよいよ最終回

第5回では、忙しい経営者でも“今日からできる未来づくり”を紹介します。
・3つの質問で未来の輪郭を描く方法
・会社の方向性を整理する簡易フレーム
・価値の源泉を見つける小さなワーク
・Touch Core が伴走者としてできること
未来を大きく変えるのは、壮大な計画ではなく 最初の一歩 です


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合同会社タッチコア 小西一有


第1回:第1回:経営者が抱える“見えない疲れ”と、戦略が語られなくなった理由

第2回:小手先の改善では会社が変わらない理由ー「見える現象」と「見えない構造」

第3回:経営者の本当の仕事は「未来をつくること」ー現場に吸い寄せられる理由と戦略が持つ意味