TouchCore Blog | 第4回:IT企画人材不足の正体―「いない」のではなく「存在できなかった」
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第4回:IT企画人材不足の正体―「いない」のではなく「存在できなかった」

「IT企画人材が足りない」この言葉は、もはや日本企業の常套句になりました。

採用しても来ない。

育てても育たない。

外注に頼るしかない。

ですが本当に、IT企画人材は「不足」しているのでしょうか。

結論から言えば、不足しているのではありません。

存在できなかったのです。

IT企画とは、そもそも何をする人なのでしょうか。

IT企画とは、何を企画する仕事なのでしょうか。
まず、この問いから逃げてはなりません。

多くの企業では、

・要件定義をまとめる人

・ベンダーと調整する人

・プロジェクトを回す人

このあたりが「IT企画」と呼ばれています。

しかしこれらは、すでに決まった前提の中で仕事をする役割です。

本来の企画とは、「何をやるか」を決める仕事です。

日本企業では、この「何をやるか」は、長らく誰も定義してきませんでした。

▶ERP再定義から見える、決定的な欠落

ERP再定義論の文脈に立つと、IT企画人材に本来求められる役割は明確になります。

・どんな素活動を記録すべきなのか

・何を企業資源として管理するのか

・どこまでを基幹とし、どこからを情報とするのか

これらを定義するのが、本来のIT企画です。

ですが現実は、

・パッケージありき

・ベンダー提案ありき

・「標準に合わせましょう」ありき

この状態で、何を企画せよというのでしょう。

▶「決めてはいけない仕事」にされたIT企画

IT企画人材が育たなかった最大の理由は、決めてはいけない仕事にされていたことです。

・業務は現場のもの

・経営判断は経営のもの

・ITは手段だから黙って作れ

という扱いです。

この三点セットの中で、IT企画は常に「調整役」に押し込められてきました。

・現場の言い分を聞く

・ベンダーの言い分を聞く

・何も決めずに板挟みになる

これを何年繰り返しても、企画力は育ちません。

▶IT企画人材が「要件定義屋」になった理由

多くの企業で、IT企画人材は「要件定義ができる人」として扱われています。

ですが要件定義とは、企画の結果を書き写す作業に過ぎません。

本来あるべき順序は、

1.何を記録すべきかを決める

2.業務構造を定義する

3.その結果として要件が生まれる

この1と2をすっ飛ばして、3だけを任されてきました。

それで「企画人材が育たない」と嘆くのは、筋違いです。

「ITが分からないから企画できない」は嘘です

よくある言い訳に、「ITに詳しくないから企画できない」というものがあります。

これは完全に逆です。

企画とは、ITを使わない前提で考える仕事です。

・何を記録したいのか

・何を管理したいのか

・何に責任を持ちたいのか

これを決めるのに、クラウドの知識は要りません。

必要なのは、企業活動を構造として捉える視点です。

▶IT企画人材は「育成不足」ではない

ここまで見てきて明らかなように、

IT企画人材不足は、以下の問題ではありません。

・育成の問題

・採用の問題

・個人の能力の問題

役割を定義しなかった経営の問題です。

企画する権限を与えず、決める責任も与えず、それで「企画人材がいない」と言うのは、存在できないようにしておいて「いない」と言っているだけです。

では、どうすればIT企画人材は生まれるのでしょうか。

答えは単純です。

・企画してよい範囲を明確にする

・決めるべきテーマを与える

・失敗しても責任を取らせない

そして何より、「何を記録するかを決める仕事」こそがIT企画であると定義し直すことです。

ERP再定義論とは、

IT企画人材を生み出すための前提条件でもあります。

▶次に問われること

次に問われるのは、ではそのIT企画人材をどこに置くのかという組織論です。

・情シスなのか

・経営企画なのか

・現場なのか

ERP再定義論は、組織設計へと進んでいきます。

合同会社タッチコア 小西一有

第1回:基幹システムとは何か―ERPを再定義すると、情報システムの意味が変わる

第2回:情シスの役割再定義―「守る仕事」と「変える仕事」を取り違えない

第3回:情シスに必要な人材像の再定義―「ITが分かる人」ではもう足りません