TouchCore Blog | 第4回(4/5):なぜ組織から「中立な立場」は消えていくのか
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第4回(4/5):なぜ組織から「中立な立場」は消えていくのか

第3回では、SAP導入に慎重な人が、なぜ「反対意見」ではなく「敵(エナミー)」として扱われてしまうのかを整理しました。

今回は、そのもう一段深い話をしたいと思います。

そもそも、なぜ組織には「中立な立場」が存在しづらいのでしょうか。

なぜ、賛成か反対かの二択に収束してしまうのでしょうか。


組織は「白か黒か」しか扱えない

多くの企業組織では、意思決定が進むにつれて、選択肢は急速に単純化されていきます。

• 賛成か、反対か

• 推進派か、慎重派か

• 味方か、敵か

本来は存在するはずの、

• 条件付き賛成

• 時期尚早

• 前提再確認

といった 中間的な立場 は、いつの間にか扱われなくなります。

なぜでしょうか。

組織にとって「中立」は、管理しづらい存在だからです。


中立は「責任の所在」を曖昧にする

SAP導入のような大きな投資判断では、必ず「誰が決めたのか」が問われます。

• 誰が旗を振ったのか

• 誰がGOを出したのか

このとき、

「一度立ち止まって確認しよう」という中立的な立場は、意思決定のスピードを落とします。

それは同時に、責任の所在をぼかす存在にも見えてしまいます。

だから組織は、中立を許容するよりも、二項対立にしてしまった方が楽なのです。


■ 中立は「裏切り」に見える

さらに厄介なのは、中立がしばしば 裏切り と解釈される点です。

• 完全に賛成しない

• しかし、反対でもない

この立場は、推進派から見れば「腰が引けている人」に映ります。

結果として、あの人は、どちらの味方なのか分からない

信頼できないという評価につながったりします。

中立とは、本来は冷静な立場のはずなのに、です。


■ 安全装置は、物語を壊す

SAP導入はいつの間にか「改革の象徴」「正しい選択」という物語をまとい始めます。

この物語が共有された瞬間、中立な立場は危険になります。

なぜなら、中立は、

• 物語に熱狂しない

• 前提を問い直す

• 成功条件を冷静に確認する

つまり、物語を壊す役割を担ってしまうからです。

組織は、自分たちの物語を揺るがす存在を、本能的に遠ざけるものです。


■ その結果、何が起きるのか

中立な立場が消えた組織では、次のような現象が起きます。

• 業務構造の検証が省略される

• 「後で何とかする」が増える

• カスタマイズが前提になる

• 問題は導入後に噴出する

そして失敗すると、こう言われます。

「想定外だった」「現場が対応できなかった」

しかし本当は、想定しないということを選んだだけなのです。


■ 中立が存在しない組織は、学習できない

中立な立場とは、単なる慎重派ではありません。

• 仮説を疑う

• 前提を確認する

• 次の判断に知見を残す

これは、組織が学習するためのポジションです。

その立場が消えるということは、組織が同じ失敗を繰り返す構造に入るということでもあります。

このような構造の中で、「ITコンサル」という言葉はどんな役割を強いられてきたのでしょうか。


次回最終回では、

私はITコンサルではない―仕事の再定義―を通じて、

なぜ「入れる前の仕事」が今の日本企業に不可欠なのかを整理したいと思います


合同会社タッチコア 小西一有

第1回(1/5):なぜ私は「ERP製品コンサルと同業だね」と言われて傷ついたのか

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