TouchCore Blog | Weekly:第4回 情報システムに影響システムを合わせる極悪非道
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Weekly:第4回 情報システムに影響システムを合わせる極悪非道

第1回から第3回まで、私たちは次のような現象を見てきました。

•「業務は変えていない。システムを入れただけ」という自己欺瞞

•「現場の抵抗が強い」という便利な責任転嫁

•「次はAIを入れれば解決する」という技術万能論

これらはすべて、別々の問題に見えますが、根は同じです。

「設計すべきものを、設計していない。」


▶見えていなかった設計対象―影響システム

ここで、ようやく言葉にしましょう。

情報システムが導入されるとき、必ず同時に変わるものがあります。

•誰が、いつ、何を判断するのか

•誰の権限が強まり、誰の裁量が失われるのか

•失敗したとき、誰が説明責任を負うのか

この「人と組織の振る舞いの仕組み」を、ここでは影響システムと呼びます。

これまで多くの改革が失敗してきた理由は単純です。

「情報システムは設計したが、影響システムは放置した。」からです。


▶「そうか、影響システムが大事なのか」という次の罠

ここまで読んだ読者の中には、こう思った人もいられるでしょう。

「なるほど。では次は、影響システムもちゃんと考えなければならないのだな」

ここまでは、正しい。

しかし、その直後にこう続くとしたらどうでしょう。

「では、ITベンダーさんにお願いしよう」

残念ながら、ここで改革は再び道を誤ってしまいます。


▶影響システムは「設計できる」が「外注できない」

影響システムとは何でしょう。

それは、権限と責任の再配分です。

•誰が決めるのか

•誰が責任を負うのか

•誰が評価されるのか

これは、経営やマネジメントの核心であり、外部に丸投げできる性質のものではありません。

もちろん、外部の専門家が、論点を整理し、可視化し、設計を支援することはできます。

しかし、決めること自体を代行することはできません。

それを引き受けてしまうITベンダーがいるとすれば、それは善意ではなく、無理解でしょう。


▶安請け合いと「それっぽい改革」

現実には、こうした会話が交わされています。

「業務改革も含めて支援できます」

「組織面も考慮した設計を行います」

でも、その中身をよく見ると、ヒアリング結果を画面設計やワークフローに落とし込む。

それだけで終わっているケースが多いのです。

影響システムは、UIや操作手順ではありません。

にもかかわらず、それをシステムの設定項目に矮小化してしまいます。

これでは、影響システムを理解しているとは言えません。


▶最低最悪・極悪非道―本当にやってはいけないこと

そして、最も罪深いのがこのパターンです。

•先に情報システムの構造を決め

•その制約に合わせて

•権限・承認・役割を再定義する

一見すると、合理的に見えるかもしれませんが、これは本末転倒です。

情報システムに、影響システムを合わせる。

これは改革ではなく、システム都合による組織の歪曲です。

このとき、組織では何が起きるでしょう。

•判断権限が形骸化する

•責任の所在が不自然にねじれる

•調整役が切り捨てられる

•現場は「従うだけ」の存在になる

これを、改革と呼んではいけません。


▶なぜ、こんなことが起きるのか

理由は明確です。

影響システムを理解できない場合ほど、情報システムで影響システムを作ろうとするからです。

なぜなら、情報システムは

•目に見える

•図に描ける

•外注できる

一方、影響システムは、

•抽象的

•不都合な真実を含む

•内部の覚悟を要求される

だから、避けられるのです。


▶本当の設計順序

最後に、改めて確認しておきましょう。

改革における設計順序は、以下の通りです。

1.影響システム(誰が決め、誰が責任を負うのか)

2.業務プロセス(その判断をどう流すのか)

3.情報システム(それをどう支えるのか)

この順序を逆にした瞬間、改革は必ず歪んでしまいます。


▶結びに代えて

情報システムは、組織を良くも悪くもできます。

しかし、それはあくまで影響システムをどう設計するか次第です。

システムを作ったつもりで、組織を設計してしまっていないか。

そして、その設計を、本来自分たちが引き受けるべき責任から逃げるために、他者に押し付けていないか。

この問いから目を逸らす限り、どれだけ新しい技術を導入しても、改革はうまくいかないでしょう。

合同会社タッチコア 小西一有

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▶情報システムと影響システムー正しいITが壊すもの(全4回)

第1回:ある一言が改革を失敗させる(1/19)

第2回:「現場の抵抗が強くて…」は本当か?(1/26)

第3回:「次はAIを入れれば解決する」―技術が問題を増幅させる(2/2)

第4回:第4回:情報システムに影響システムを合わせる極悪非道(2/9)