TouchCore Blog | File66:営業は根性なのか構造なのか ― 私が学んだ営業の本質
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File66:営業は根性なのか構造なのか ― 私が学んだ営業の本質

経営者には、「売上をどう作るか」 というテーマがあります。

そしてその議論になると、必ず「営業」の話になります。


営業は根性なのか。それとも構造なのか。


私は1988年、新卒で山一證券に入社しました。

配属は本店営業部で、個人営業として社会人生活をスタートしました。

当時の証券会社の営業は、今の感覚からするとかなり体育会系でした。


上司からよくされた指示は、

「今日は名刺を100枚配ってきなさい」

朝そう言われて外に出ます。

そして夕方会社に戻ると、「100枚終わったのか」と確認されます。

終わっていなければ当然叱られます。

とにかく外に出る。

とにかく人に会う。

とにかく名刺を配る。

いわゆる「量の営業」です。


もっとも、会社が完全に無計画だったわけではありません。

誰に会うべきかについても、明確な指示がありました。

「社長か、財務担当役員に会ってきなさい」


証券営業にとって、企業の意思決定者と関係を築くことは非常に重要です。

その意味では、この指示自体は合理的なものだったと言えます。

しかし、ここで現実の壁にぶつかります。

社長や財務担当役員など、そう簡単に会わせてもらえるものではありません。

受付で止められます。

秘書に断られます。


普通であれば、それで終わりでしょう。

ところが当時の営業の世界では、そこで終わりません。

「会えないなら日参しなさい」

という指示が出るのです。

毎日行きなさい。

顔を覚えてもらいなさい。

いつか会えるようになる。


今の若い人が聞いたら、驚くかもしれません。

しかし当時の営業では、これは決して珍しいことではありませんでした。


そして実際、不思議なことが起こります。

毎日やってくる営業マンというのは、次第に無視できなくなってきます。

受付の人とも顔見知りになります。

秘書とも少し雑談をするようになります。

そしてある日、

「少しだけなら」と会わせてもらえることがあります。

つまり当時の営業は「確率を上げるための行動量」に依存していたのです。


もちろん、今の視点から見ると、これはかなり非効率な営業に見えるかもしれません。

しかし一方で、こうも思います。


今の企業の営業は、逆に「行動量」を軽視しすぎているのではないでしょうか。

CRMを導入すれば営業は変わる。

データ分析をすれば顧客が見える。

そうした議論をよく耳にします。

しかし、どれほど分析をしても、最後は人に会わなければ何も始まりません。

営業の本質は、やはり人と会うことにあります。


山一の営業は確かに体育会系でしたが、

その裏には「決裁者に会う」という営業の基本構造がありました。


本来、営業とは構造を理解したうえで、確率を上げる行動を積み重ねる仕事なのだと思います。


今の時代、営業はデータやツールで効率化されています。

それ自体は大切なことです。


しかしどれだけ時代が変わっても、営業の本質は変わりません。

人に会うこと。

そして関係を築くこと。


そのための行動を、根性ではなく、構造として設計できるか。


もし営業を組織として強くしたいのであれば、

必要なのは根性ではなく、行動を支える構造の設計と共有なのだと思います。

合同会社タッチコア 小西一有