
前回、内製化が広がっている背景について整理しました。
・ベンダー依存への違和感
・コストへの不満
・コントロールできていないという感覚
こうした要因が重なり、
「それなら自分たちでやるべきではないか」
という発想が生まれるのは、極めて自然です。
実際、内製化には明確なメリットがあります。
・自社でコントロールできる
・変更のスピードが上がる
・外部依存が減るこれらは、どれも重要なポイントです。
では、内製化すれば問題は解決するのでしょうか。
答えは、残念ながらそう単純ではありません。
まず直面するのが、人材の問題です。
内製化を進めるには、
・開発できる人材
・運用できる人材
・それをマネジメントできる人材
が必要になります。
しかし現実には、これらを一気に揃えるのは簡単ではありません。
特に中堅企業においては、
・採用が難しい
・育成には時間がかかる
・定着もしない
という課題が重なります。
さらに、内製化には見えにくいコストがあります。
例えば、
・採用コスト
・教育コスト
・マネジメントコスト
・離職による再投資
これらは外注費のように“請求書”としては見えませんが、
確実に企業の中で発生しています。
そしてもう一つ、見落とされがちな点があります。
それは、
「内製化しても、問題の本質は変わらない」ということです。
多くの企業が感じている不満は、
・コストが高い
・思い通りに変えられない
・期待通りのシステムにならない
といったものです。
しかし、これらの原因は本当に「外部ベンダーに依頼していること」なのでしょうか。
仮に内製化したとしても、
・要件が曖昧なまま
・業務が整理されないまま
・何を作るべきかが定まらないまま
開発を進めれば、結果は変わりません。
むしろ、
・社内で議論が長引く
・意思決定が遅れる
・責任の所在が曖昧になる
といった形で、別の難しさが表面化することもあります。
ここで一度、冷静に考える必要があります。
内製化とは、「誰が作るか」を変える選択です。
しかし、
「何を作るべきか」
「どう変えるべきか」
という問いに答えてくれるものではありません。
もしこの問いが曖昧なまま内製化を進めれば、
それは単に“外部ベンダーを社内に置き換えただけ”
になってしまいます。
内製化は、決して間違った選択ではありません。
しかし、それを選べばすべてが解決するというのは、一種の幻想でもあります。
では、内製化の成否を分けるものは何なのでしょうか。
なぜ、同じように内製化を進めても、うまくいく企業とそうでない企業が生まれるのでしょうか。
次回は、
「内製化の失敗は“技術”ではなく“構造”の問題である」
という観点から、この違いの本質に迫ります。
合同会社タッチコア 小西一有
[今週のBlog]
第1回 なぜ今、内製化がブームになっているのか?