TouchCore Blog | IT・DX:第3回 内製化の失敗は“技術”ではなく“構造”の問題である
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IT・DX:第3回 内製化の失敗は“技術”ではなく“構造”の問題である

前回、内製化にはメリットがある一方で、それだけでは問題は解決しないという点を指摘しました。


では、内製化の成否を分けるものは何なのでしょうか。

多くの議論では、

・技術力が足りない

・人材が不足している

・マネジメントが未熟である

といった点に焦点が当てられます。

もちろん、これらも重要な要素です。

しかし、それ以上に見落とされているのが、

「構造の問題」です。

ここで一つ、興味深い示唆があります。

Gartnerがかつて実施した調査では、IT企画機能に投資を行った企業において、

・企画にかかるコスト比率は増加した一方で

・運用コストの比率は低下し

・結果として、開発に回せる余力が生まれた

という結果が報告されています。

一見すると不思議に見えるかもしれません。

「企画にお金をかければ、全体コストが下がる」という話だからです。


しかし本質はシンプルです。

“何を作るか”の精度が上がれば、後工程の無駄が減るということです

ITコストの多くは、実は「作る工程」ではなく、その前段階でほぼ決まっています。

・不適切な要件

・無理のある業務設計

・目的が曖昧なままの開発

こうした状態でプロジェクトが進めば、

・手戻りが発生し

・構造が歪み

・運用が複雑化する

のは当然です。

そして重要なのは、この問題は内製化しても変わらない、という点です。

外注であろうと内製であろうと、

・要件が曖昧であれば混乱は起きる

・業務が整理されていなければ設計は歪む

・目的が不明確であればシステムは肥大化する

つまり、

どこで作るか”ではなく、“何を作るか”が問題なのです。

にもかかわらず、多くの企業は逆のアプローチを取ります。

・コストが高い
→ デリバリーに問題があると考える
→ 内製化する、あるいは開発力を強化する

一見すると合理的ですが、これは本質的な解決にはなりません。

なぜなら、

デリバリーをいくら最適化しても、そもそも作るものが適切でなければ、コストは下がらないからです。

ここに、内製化がうまくいかない企業と、そうでない企業の差があります。

うまくいく企業は、

・IT企画機能が機能しており

・業務とシステムの関係を構造的に捉え

・「何を作るべきか」を明確に定義できている

一方で、うまくいかない企業は、

・現場の要望をそのまま積み上げ

・要件が膨張し

・結果として複雑で維持コストの高いシステムを抱える

という構造に陥ります。

内製化は、この差を拡大する要因にもなり得ます。

なぜなら、外部ベンダーという“外からの制約”がなくなる分、内部の曖昧さがそのままシステムに反映されやすくなるからです。

つまり、内製化の成否を分けるのは技術力ではありません。

構造を設計できるかどうかです。

では、その「構造」とは何なのでしょうか。

どのように設計されるべきものなのでしょうか。

次回は、

「“作れる組織”と“変えられる組織”は何が違うのか」

という観点から、さらに踏み込んでいきます。

合同会社タッチコア 小西一有

[今週のBlog]

第1回 なぜ今、内製化がブームになっているのか?

第2回 内製化すれば本当にうまくいくのか?