TouchCore Blog | 【連載】非常識が未来を創るー未来をデザインするステップ:第5回 アイディアは“ビジネス化”しなくてもいい?
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【連載】非常識が未来を創るー未来をデザインするステップ:第5回 アイディアは“ビジネス化”しなくてもいい?

発想の価値は「形になること」だけではない

「このアイディア、事業化できそうですか?」
「実現可能性はどのくらいありますか?」
「収益モデルはどう描いていますか?」
イノベーションに関する場面では、こうした問いがよく投げかけられます。実際、ビジネスの世界では、「実現性」や「収益性」が評価の軸として当然のように使われます。
しかし私は、イノベーション創造講座において、アイディアの“ビジネス化”をゴールには設定していません。
なぜか?
それは、実現性に縛られた時点で、人の発想は自由ではなくなるからです。


アイディアは、現実の枠を越えてこそ意味がある

私たちの頭の中には、無意識に刷り込まれた「制約」がいくつも存在します。
•自社で実現可能な範囲
•上司に否定されなさそうな内容
•予算や人材に見合ったスケール
•世の中で既に評価されている切り口
こうした制約を最初から頭に思い浮かべながら発想をしようとすると、どんなに方法論を学んでも、**「ありきたりな発想」**に落ち着いてしまうのです。
だからこそ、当講座ではこう伝えています。
アイディアは、“現実を考えない状態”でこそ、本当に意味のあるものが出てくる。
ビジネス化は、あとから考えればいい。
まずは、自分の常識や立場や現実をいったん全部横に置いて、**「本当にあったらいいこと」**を考えてみる。
この思考の自由さが、発想力を根本から変えていくのです。


イノベーションの“種”は、発芽するまで時間がかかる
ビジネスの世界では、「今すぐ成果につながるもの」が重視されがちです。
しかし、本当に画期的なアイディアというものは、その場で「事業化可能」と言われるようなものではないのです。
むしろ、最初は「面白いけど、どう使えばいいかわからない」と言われることの方が多い。
•電気自動車は最初、走行距離の短さばかりが問題視された
•インターネットは当初、軍用か研究者向けの特殊技術と見なされていた
•民泊(Airbnb型サービス)は「他人の家に泊まるなんて危ない」と不安視された
これらは、「実現性が低そう」と一蹴されていた時期のあるアイディアです。
つまり、イノベーションの種は、発芽に時間がかかるのです。
いま「面白い!」と感じたものが、5年後、10年後に世の中を変えるかもしれない。
だからこそ、今すぐ形にならないからといって、アイディアの価値を低く見積もるべきではないのです。


発想を「ビジネス」から解放する
イノベーション創造講座では、「このアイディアはどう収益化できますか?」といった問いよりも、まずはこんな問いを重視しています。
•それは、誰のどんな願いを叶えるものか?
•その発想は、どんな“前提”をひっくり返しているか?
•なぜ、それを考えようと思ったのか?
こうした問いを深めることによって、発想の「原点」に近づいていくのです。
そしてこの原点を見つけられた人は、たとえそのアイディアが事業化されなくても、確実に自分の中に“創造する力”が宿ったことを実感するようになります。


事業化は「次のステージ」で考えればいい
もちろん、講座で出てきたアイディアがビジネス化につながることもあります。実際、受講生の中には、講座で生まれた発想をベースに社内提案を通したり、新規事業の種として社内プレゼンに採用された方もいます。
でもそれは、あくまで**“その後の話”**なのです。
この講座の第一目的は、「事業計画を立てること」ではありません。
“常識を逸脱する発想の回路”を脳内に作ること。
これが、本講座が目指す到達点です。
そして、その力は一度身につけば、何度でも再現可能です。
新しい課題にぶつかるたびに、新しいアイディアを生み出せる人になる。
その状態こそ、組織にとっても個人にとっても、かけがえのない資産になります。


最後に:あなたの「思考」は、もっと自由になれる
5回にわたってお届けしてきたこのBlog連載では、「イノベーション創造講座」の設計思想や演習内容、そして私自身の想いをお伝えしてきました。
•普通のアイディアでは、社会は変わらない
•柔らか頭は訓練によって育てられる
•異質な人と交わることで視野が広がる
•管理職の発想こそ、現場に自由をもたらす
•アイディアは、実現性に縛られなくていい
このどれもが、私がこの講座を通して伝えたいメッセージです。
思考は、もっと自由になれる。
自由な発想は、現場に、組織に、そしてあなた自身に変化をもたらします。
ぜひ、一緒にその力を手に入れましょう。


合同会社タッチコア 小西一有


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2025年10月期「イノベーション創造(アイディア創出)講座」

[連載過去回]

第1回:普通のアイディアでは社会は変わらない
第2回
「常識を逸脱する」という才能
第3回
:柔らか頭はこうして育つ

第4回:“混ざる”ことで生まれる新しい発想の芽