TouchCore Blog | 第6回:CIO/CDOは何をすべきか」―「ITを管轄する役員」では足りない
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第6回:CIO/CDOは何をすべきか」―「ITを管轄する役員」では足りない

CIOやCDOという肩書きは、日本企業でも珍しくなくなりました。

しかし現実には、その役割は驚くほど曖昧です。

・CIOはシステムの責任者

・CDOはDX推進役

そんな理解に留まっている企業も多いでしょう。

ですが、ERP(企業資源計画)を再定義した瞬間、CIO/CDOに求められる役割は根本から変わります。


▶CIO/CDOの仕事は「IT」ではない

まず、はっきりさせておきましょう。

CIO/CDOの仕事は、システムを導入することでも、DX施策を量産することでもありません。

企業は、どこまでの活動を記録し、その記録をどう計画につなぎ、何に責任を持つのか。

この枠組みを定義すること。

それがCIO/CDOの本質的な仕事です。


▶ERP(企業資源計画)という視点からの再定義

ERP(企業資源計画)とは、単なる業務パッケージではありません。

企業内で発生するリソースの動きを、どこまで記録し、どう把握し、どう計画に反映させるかという経営の枠組みです。

この枠組みを定義せずに、CIOやCDOが個別施策を打っても、それは点の改善にしかなりません。


▶CIOが果たすべき責任

CIOに求められる最大の責任は明確です。

「企業活動の記録が途切れない状態」を守ることです。

・どの素活動を基幹として記録するのか

・その記録が止まったら何が起きるのか

・どこまでを“止めてはならない領域”とするのか

これを定義し、守り続けます。

CIOは、サーバーの稼働率を守る人ではありません。

企業活動の連続性を守る人です。


▶CDOが果たすべき責任

一方、CDOの役割は異なります。

CDOは、記録された企業活動を、どう意思決定と価値創出につなげるかに責任を持ちます。

・どのデータを経営判断に使うのか

・どの指標で企業活動を評価するのか

・どこまでを可視化し、公開するのか

CDOの仕事は、「データを活用すること」ではありません。

記録された活動に、意味を与えることです。


▶CIOとCDOを分けるべきか、統合すべきか

よく議論されるのが、「CIOとCDOは分けるべきか」という問いです。

ですが本質は、肩書きの数ではありません。

重要なのは、

・記録の責任者が誰か

・活用の責任者が誰か

が明確になっているかどうかです。

企業規模によっては、CIOとCDOを一人が兼ねてもよいでしょう。

逆に、大企業では分けた方がよい場合もあります。

ですが、この二つの責任を誰も引き受けていない状態だけは、最悪です。


▶CIO/CDOがやってはいけないこと

ERP再定義論の文脈で言えば、

CIO/CDOがやってはいけないことは明確です。

・パッケージ選定を主業務にする

・DX施策の数を成果指標にする

・現場調整だけで終わる

これらはすべて、枠組みを定義しないまま動いている状態です。


経営がCIO/CDOに委ねるべき問い

最後に強調したいことがあります。

CIO/CDOは、経営の代行者ではありません。

経営が決めるべき問いを、構造として実装する役割です。

経営がCIO/CDOに委ねるべき問いは、これです。

私たちは、どこまでの企業活動を記録し、その記録をどう計画につなぎ、何に責任を持つ企業なのでしょうか。

この問いに答えない限り、

CIOもCDOも、永遠に「便利なIT責任者」で終わります。


▶ERP再定義論が示す結論

ERPを再定義するとは、

システムを刷新することではありません。

経営の責任範囲を、記録と計画という形で定義し直すことです。

その最前線に立つのが、CIO/CDOです。


合同会社タッチコア 小西一有

第1回:基幹システムとは何か―ERPを再定義すると、情報システムの意味が変わる

第2回:情シスの役割再定義―「守る仕事」と「変える仕事」を取り違えない

第3回:情シスに必要な人材像の再定義―「ITが分かる人」ではもう足りません

第4回:IT企画人材不足の正体―「いない」のではなく「存在できなかった

第5回:経営企画と情シスの分断はなぜ起きたのか―「戦略」と「記録」を切り離した組織の末路