第4回(4/5):なぜ組織から「中立な立場」は消えていくのか //大きなIT投資判断ほど、組織は「白か黒か」で扱いやすい形に単純化し、中立的な立場が維持されにくくなります。 中立は意思決定の速度を落とし、責任の所在を曖昧にし、時に「裏切り」と解釈されるためです。 その結果、業務構造の検証は省略され、「後で何とかする」が増え、導入後に問題が噴出します。 今回は、中立が消えるメカニズムと、組織が学習できなくなる構造についてお話しします。
第3回(3/5):なぜERP製品導入にブレーキをかける人は「敵」になってしまうのか //ERP導入は、検討段階を超えると「DX」「改革」「正しい経営判断」という物語になり、議論が止まりやすくなります。 本来は、導入ありきではなく、業務構造・カスタマイズ前提・導入後の調整コストといった成功条件を整理し、IT投資が投資として成立するかを意思決定の段階で見極める必要があり、場合によっては「今は導入しない」という結論も含めた経営判断が必要です
第2回(2/5):なぜお客さまの目には、まるっと「ITの人」に見えてしまうのか //多くの企業では、SAPコンサル・ITコンサル・DXコンサルがまとめて「ITに詳しい人」として扱われがちです。 しかし本来、業務設計・システム設計・意思決定支援は別の仕事です。 私は導入・開発を請け負わず、業務の整理と判断基準の明確化を通じて、「入れるべきかどうか」から支援します。 評価されにくい“入れる前の仕事”を構造として可視化し、失敗する投資を未然に止めるべく支援しています。
第1回(1/5):なぜ私は「ERP製品コンサルと同業だね」と言われて傷ついたのか //「導入するコンサル」と「導入を止めるコンサル」は、本当に同業でしょうか。 私はSAP等のERPを前提に設計・導入を進める立場ではなく、導入前に「入れるべきか」「今なのか」を構造で判断する意思決定支援を行っています。 業務の単純化、判断基準の明確化、過剰なカスタマイズの抑制によって、無理のない改革を成立させます。必要であれば「今はやめる」という結論も含め、経営判断を言語化します。
Weekly:第1回「ある一言が改革を失敗させる」 //「業務は変えていない。システムを入れただけ」―情報システム導入やDXの現場で、この言葉が出てくるプロジェクトほど、なぜか現場が回らなくなり、想定外の混乱に陥ります。 多くの現場では「業務=入力作業」「帳票作成」「ボタン操作」といった“作業の置き換え”で捉えがちですが、業務の本質は、意思決定と責任の流れにあります。 誰が、どのタイミングで、どの情報をもとに判断し、その結果に誰が責任を持つのか――ここにシステムは必ず介入し、導入した瞬間から現場の振る舞いを変えてしまいます。 第1回では、「変えていないつもり」で起きている変化を可視化し、改革が失敗へ向かう構造を解いていきます。
最終回:経営者への提言:企業は、何を活動と認め、何に責任を持つのか //ERPは長い間、「どのパッケージを選ぶか」「いくらで導入するか」といったITの話として語られてきました。しかしERP(企業資源計画)とは、本来、企業が何を活動と認め、それをどこまで記録し、何に責任を持つのかを定義する経営の枠組みです。本連載が一貫して問い続けてきたのは、この一点でした。 最終回では、ERPを「導入するもの」ではなく「定義するもの」と捉え直し、記録されない活動は存在しないのと同じであるという厳しい前提に立ち返ります。技術的制約がほぼ消えた今、それでも記録しない選択をするのかーそれは経営の意思そのものです。ERP再定義論が経営者に突きつける問いを、総括していきます。
第7回:戦略と記録をつなぐ組織設計―DXが進まない企業に「欠けている組織」の正体 //多くの企業で、戦略は語られ、DX方針も掲げられ、IT投資も行われています。 それでも戦略が現場の行動に落ちないのは、戦略を「記録される企業活動」に翻訳する組織が存在しないからです。 経営企画は計画を立て、情シスはシステムを運用する─この分業の間に、「どの活動を、どの戦略のために、どう記録するのか」を設計する役割が欠けていました。 ERP(企業資源計画)を再定義すると、その本質は戦略と記録を一貫させる枠組みにあります。本稿では、DXを成立させるために不可欠な“戦略と記録をつなぐ組織”の役割と設計原則“を分かり易くお話しします。
第6回:CIO/CDOは何をすべきか」―「ITを管轄する役員」では足りない //CIOやCDOという肩書きは広まりましたが、その役割は今なお曖昧なままです。 システムの責任者、DX推進役──その理解に留まっている限り、企業変革は点の改善に終わります。 ERP(企業資源計画)を再定義すると、CIO/CDOの本質的な役割は「IT」ではなく、企業活動をどこまで記録し、その記録をどう計画と意思決定につなげ、何に責任を持つのかという枠組みを定義することだと見えてきます。 本稿では、CIOが担うべき「記録の連続性への責任」と、CDOが担うべき「記録に意味を与える責任」を明確に切り分けたうえで、肩書き論ではなく責任構造としてのCIO/CDO像を提示します。