人材育成:第2回 空振りしない社員はなぜ事業を変えられないのかー失敗しないことを教えすぎると、強く振る力が失われる //企業は「挑戦してほしい」と言いながら、実際には「失敗しない方法」を教えすぎてはいないでしょうか。丁寧な報告、無難な発言、波風を立てない振る舞い。これらは重要である一方で、「強く振る力」を奪ってしまう側面もあります。今回は、「空振りしない社員」がなぜ事業を変えられないのかを掘り下げ、企業が抱える教育の矛盾と、その乗り越え方について考察します。
人材育成: 第1回 新入社員研修は凡打製造装置なのかー社会人に育てることと、強く振れない社員にしてしまうことは違う //新入社員研修は、本当に若者を育てているのでしょうか。それとも、扱いやすい社員へと整える場になってはいないでしょうか。ビジネスマナーや報連相は確かに重要です。しかし、それだけを教え続けた結果、若者が本来持っていた「違和感」や「問い」が失われているとしたらどうでしょう。今回は、新入社員研修が知らず知らずのうちに「凡打製造装置」となってしまう構造を問い直し、企業が本当に育てるべき人材とは何かを考えます。
意思決定:第5回 DXに必要なのはAI案件ではなく、意思決定の仕組みである―社長が最後に決めるための会社をつくる //DXに必要なのはAI案件ではなく、「意思決定の仕組み」です。本シリーズの結論として、DXの本質は技術導入ではなく、何を変えるかを決めるプロセスにあると示します。AI案件が増えても、意思決定の質が上がらなければ会社は変わりません。現場の提案を整理し、経営課題と結びつけ、選択肢として提示する。この仕組みがあって初めて、社長は責任ある判断ができます。DXとは、経営の意思を現場に実装すること。そのための構造がなければ、AIは単なる流行で終わります。成熟した会社とは、AIを導入している会社ではなく、意思決定できる会社なのです。
意思決定:第4回 社長の前に、誰が整理するのかーCIO機能が果たすべき本当の役割 //長が最終判断を下す前に、「誰が論点を整理するのか」。本稿ではCIO機能の本質に迫ります。CIOとは単なるITの専門家ではなく、経営が判断できるように情報を整理する役割です。技術、業務、コスト、リスク、組織影響などを統合し、意思決定の材料として提示する。この機能がなければ、経営は印象や流行に左右されやすくなります。重要なのは、意思決定を代行することではなく、「決められる状態をつくること」。AI案件が増えるほど、この整理機能の価値は高まります。DXを進める鍵は、ツールではなく意思決定の質にあります。
意思決定:第3回 必要なのはAI案件の募集ではないー経営の期待を翻訳する会議体を設計せよ //AI案件を「集める」だけでは、DXは進みません。本回では、必要なのは“翻訳する場”であると提起します。経営は抽象的な言葉で方向を示し、現場は具体的な業務課題を語る。この両者の間にはギャップがあります。この断絶を埋めるのが、AI導入委員会や情報システム戦略会議といった会議体です。重要なのは、案件の可否を判断することではなく、経営課題と結びつけて再構成すること。個別案件を束ね、全社視点で意味づけし、優先順位をつける。このプロセスこそがDXの本質です。現場の前向きさを「変革の力」に変えられるかどうかは、この翻訳機能にかかっています。
意思決定:第2回 AI導入案件は、なぜ部分最適に終わるのかー自動化要望と経営課題は違う //AI導入の議論でよく見られるのが、「何をするか決める前に環境を整える」という逆転現象です。本稿では、なぜAI導入案件が部分最適に終わるのかを掘り下げます。現場の「楽にしたい」「効率化したい」という要望は切実ですが、それがそのまま経営課題とは限りません。個別の改善が積み上がっても、会社全体の変革にはつながらないのです。本来は「何を変えたいか」という経営の問いが先にあり、その上でAIの活用が検討されるべきです。AIは導入すれば効果が出る魔法の道具ではなく、業務構造の中に位置づけて初めて意味を持ちます。導入目的が曖昧なままでは、「使われない仕組み」が残るだけです。
意思決定:第1回 AI案件がたくさん出る会社ほど危ない“活発さ”と“構想力”を取り違えるな //AI案件が次々と出てくる会社は、一見するとDXが進んでいるように見えます。しかし、それは本当に「変革」でしょうか。本回は、“活発さ”と“構想力”の違いに焦点を当てます。現場からのAI活用提案の多くは、日々の業務の困りごとから生まれる「局所的な改善」です。それ自体は健全ですが、それだけでは会社は変わりません。DXとは、単なる効率化ではなく、経営の意図に基づいて業務や組織を再設計することです。重要なのは「どこにAIを使うか」ではなく、「会社をどう変えたいのか」。案件の多さに安心するのではなく、それらを経営課題と結びつけて再構成できるかが問われます。活発さに安心する組織ほど、実は変革から遠ざかっているかもしれません。
意思決定:第5回 中小・中堅企業こそ、まず小さな決裁事務局を創ろう―経営の意思を組織に通す仕組みは、大がかりでなくてよい //「うちの規模で事務局なんて無理」―そう感じる方も多いかもしれません。 しかし、決裁事務局の本質は“組織の大きさ”ではなく、“役割の設計”です。 誰が論点を整理するのか。誰に事前回覧するのか。不備があれば誰が差し戻すのか。 これらを明確にするだけで、意思決定の質は大きく変わります。 最初から完璧を目指す必要はありません。まずは重要案件から、小さく始める。 それが、経営の意思を組織に通す最も現実的な一歩です。